エステサロンの利用規約・プライバシーポリシー・特商法表記の作り方

コース契約の法定書面とは別に、予約・キャンセルの規約、健康情報の取扱い、ネット予約の表示を整えます。四つの書類が食い違わないよう、役割を分けて作ります。

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規約に「法人には適用しない」と書いても、法律の適用が外れるわけではありません。コースの中途解約を規約で独自に決めると、法定書面との食い違いの原因になります。

このページの要点

  • 規約は日々の運用、法定書面はコース契約、プライバシーポリシーは情報の取扱い、特商法表記はネット申込みの表示。役割を分け、変更のたびに連動して見直す。
  • キャンセル料は、時期の区分ごとに、サロンに生ずる平均的な損害を超えない範囲で定める(消費者契約法9条1項1号)。サロン都合・天災・安全上の中止は対象から外す。
  • 問診の体調・皮膚の情報は、診断名や服薬が書かれ得るため、要配慮個人情報として同意を取る前提で運用する。肌写真は、記録・広告・外部提供で同意を分ける。
  • ネットで予約・申込みを受ければ通信販売の表示(特定商取引法11条・12条の6)が必要。中途解約の欄は、「いずれか低い額」と「提供済みの役務の対価」まで書く。
エステサロンの利用規約、プライバシーポリシー、特定商取引法に基づく表記は、1か月を超え5万円を超えるコースの法定書面(概要書面・契約書面)の代わりにはなりません。規約は予約・キャンセル・遅刻・施術の中止といった日々の運用の約束事を決める書類、プライバシーポリシーは体調や皮膚の状態、肌の写真をどう取り扱うかを説明する書類、特商法表記はネットで予約や申込みを受けるときの表示です。この3つと法定書面の内容が食い違うと、お客様にとって「どれが本当の約束か」が分からなくなり、トラブルのときにサロン側の説明が崩れます。このページでは、単発メニューの予約とキャンセル、健康情報の取扱い、ネット予約の表示を中心に、一般的な規約・プライバシーポリシー・特商法表記の書き方の例をもとに整理します。

規約・プライバシーポリシー・特商法表記は、法定書面と役割が違う

エステサロンが用意する書類は、似た名前のものが多く、同じことを二度三度書いてしまいがちです。まず、それぞれが何のための書類かを分けて考えます。1か月を超え5万円を超えるコースを売る場合の概要書面・契約書面は、特定商取引法42条が内容を決めている書面で、記載事項や様式が法律で決まっています(詳しくは概要書面・契約書面のページ)。これに対して、利用規約は、サロンが予約をどう受け付け、どう変更・キャンセルを扱い、どんなときに施術を断るかといった、サロンが自分で決められる運用の約束事を書く書類です。

4つの書類の役割と、食い違いやすい点
書類決めること主な根拠食い違いやすい点
コース契約の法定書面(概要書面・契約書面)1か月超・5万円超のコースの内容、金額、期間、クーリング・オフ、中途解約特定商取引法42条、同法48条・49条規約のキャンセル・解約の定めと、書面の中途解約欄の内容が違う
利用規約予約の成立、変更・キャンセル、遅刻、施術の中止、禁止事項、免責、規約の変更民法548条の2〜548条の4、消費者契約法8条〜10条キャンセル料が高すぎる。コースの解約まで規約で決めてしまう
プライバシーポリシー取得する情報、利用目的、委託・第三者提供、開示等の請求の窓口個人情報保護法17条・21条・23条・27条・28条などカウンセリングシートや予約フォームの同意文と目的が違う
特定商取引法に基づく表記ネットで予約・申込みを受けるときの事業者情報、料金、支払、キャンセル条件特定商取引法11条・12条の6実際の運用(ネット決済の有無、コースの申込み)と表記の内容がずれる

個人のお客様向けの利用規約と法人契約を並べて運用する場合、この役割分担を明確にするために、クーリング・オフは個人の利用者に限ること、法人の中途解約は別に結ぶ法人向けの契約書によることを、規約の中で書き分ける方法が考えられます。個人のお客様と法人契約の利用者の扱いを、同じ規約の中で混ぜないための整理です。ただし、規約に「法人には適用しない」と書いたことで、法律の適用が外れるわけではありません。特定継続的役務提供の規定が適用されないのは、法律の条文が定める場合に限られます。たとえば、お客様が営業のために、または営業として締結する契約は適用除外とされています(同法50条1項1号)。法人が従業員の福利厚生として契約する場合に、この除外に当たるかどうかは契約の内容と実態で判断が分かれるため、法人向けの契約書側で扱いを整理します(サブスク・回数券・法人契約のページ)。

この整理の結論は単純です。規約は「日々の運用」、法定書面は「コース契約そのもの」、プライバシーポリシーは「情報の取扱い」、特商法表記は「ネットでの申込みの入口の表示」。四つのうち一つを直したら、他の三つに影響がないかを必ず見直します。本ページの最後に、その点検の手順をまとめます。

利用規約に書く、予約・キャンセル・遅刻のルール

単発メニューは、1回ごとに完結するため、特定継続的役務提供の書面は要りません。その代わり、予約の約束事が規約の中心になります。エステの予約では、次の5つを順番に決めておきます。

予約はいつ成立するか

予約フォームに入力した時点で成立するのか、サロンが確認の連絡を送った時点で成立するのかを書いておきます。ネット予約では、「仮予約」の状態と「予約確定」の状態があいまいだと、同じ時間帯に重複して予約を受けたり、確定メールが届かないまま来店されたりします。規約には、予約はお客様が所定の方法で申し込み、サロンが確定の通知を送った時に成立する、と成立の時点を書き、確定の通知が届かないときの連絡方法も添えます。メッセージアプリや電話での予約も受ける場合は、同じ基準で成立の時点をそろえます。

変更・キャンセルの受付方法と期限

期限の書き方は、数えられる形にします。「前日の夜まで」「前日の営業時間内」といった書き方は、受付の時刻をめぐって争いになりやすいため、「予約時刻の24時間前まで」のように、時刻で数えられる表現にします。期限を「前日夜」とだけ書いている場合は、「24時間前」のように時刻で数えられる書き方に改めるのが一般的です。受付の方法は、電話だけに限らず、予約システムの画面やメッセージでもできるようにしておくと、お客様が連絡できなかったという争いを減らせます。

遅刻と、サロン側の事情

遅刻は、施術時間を短縮して行うのか、予約枠を1回分消化したものとするのか、断るのかを決めます。回数券やサブスクの規約では、当日キャンセル・無断キャンセルは1回分を消化し、遅刻は施術時間の短縮または消化としたうえで、サロン側の責任による場合や天災などの場合には、これらの定めを適用しないことを書くのが一般的な整理です。サロンの都合で予約を動かした場合、機器の故障で施術できなかった場合、スタッフの体調不良で担当が変わった場合などを、お客様の「キャンセル」と同じ扱いにしてしまうと、規約そのものが不公正と受け取られかねません。サロン都合の変更は、振替または返金とする、と書き分けます。

安全のための中止は、消化しない

当日の体調や皮膚の状態から、施術を中止・制限した方がよいと判断することがあります。このとき、お客様の回数を失わせない仕組みにしておかないと、無理をして施術を受けてしまう方が出ます。一般に、スタッフが当日の体調等から安全上の懸念があると判断して途中で中止・制限した場合は、回数券1回分を消化扱いにしない、と規約に書いておく必要があります。施術を断る基準そのものは、脱毛・ハイフと施術同意書のページで整理しています。規約には「安全上の中止は消化しない」と書き、基準は同意書側で具体的に示す、という分担が実務的です。

禁止事項と退店

撮影や録音、他のお客様への迷惑、性的な要求などの禁止事項は、規約に書く一方で、それぞれの禁止の理由と、守られなかった場合に施術を中止し以後の利用を断る、という流れまで書かなければ運用できません。この論点は、迷惑客対策のページで詳しく扱っています。

条文例:予約・キャンセル・遅刻の規定(書き方の例)

第○条(予約の成立)

予約は、お客様が当店所定の方法で申し込み、当店が予約確定の通知を送信した時に成立します。確定の通知が届かない場合は、予約時刻の前に当店へご連絡ください。

第○条(変更・キャンセル)

予約の変更・キャンセルは、予約時刻の24時間前までに、電話、予約画面またはメッセージで当店に連絡してください。この期限を過ぎてからの連絡、または連絡のない不来店の場合は、第○条のキャンセル料をお支払いいただきます。

第○条(遅刻)

予約時刻に遅れて来店された場合は、後の予約への影響がない範囲で、施術時間を短縮して施術します。影響がある場合は、施術をお断りすることがあり、その場合は前条を準用します。

第○条(当店の事情・災害等)

当店の都合、機器の故障、天災、交通機関の運休その他お客様の責めに帰さない事情により予約どおりに施術できない場合は、第○条およびこの条の定めを適用せず、日程の振替または料金の返金をいたします。

第○条(安全上の中止)

当日の体調や皮膚の状態から、スタッフが安全上の懸念があると判断して施術を中止または制限した場合は、回数券・コースの回数を消化しません。

コースの契約者に対する当日キャンセルの扱い(回数の消化)は、法定書面の内容と同じ数え方に統一します。条文の番号と文言は、サロンの運用に合わせて作ります。

キャンセル料と消費者契約法:どこまで定められるか

お客様が消費者である場合、キャンセル料の定めには消費者契約法9条1項1号がかかります。契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定める条項は、同種の消費者契約の解除に伴ってその事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分が無効になります。しかも、その比較は「解除の事由、時期等の区分に応じ」て行われます(同号)。つまり、キャンセルの時期ごとに、サロンに生ずる損害を考える必要があります。

エステの予約でサロンに生じる損害は、主に次の3つです。

  • その予約枠が埋まらなかったことによる売上の減少(ほかのお客様を入れられたかどうか)
  • 予約に備えて用意したもの(その方のために準備した消耗品、リネン、機器の立ち上げなど)のうち、無駄になった分
  • キャンセルの連絡を受けてから、枠を埋め直すための手間(連絡や調整の人件費)

前日の夜に連絡があれば、別のお客様を入れられる可能性がありますが、当日の直前や無断の不来店では、ほとんど入れられません。そのため、キャンセルの時期に応じて金額に段階を付けるのが基本です。「前日までは無料、当日は施術料金の一部、無断は施術料金の全額」のように、時期ごとの区分をつくるときは、どの区分でも、実際にその枠で見込まれた利益や準備の費用を超えていないかを確認します。何パーセントなら必ず有効といえる数字はなく、サロンの予約の埋まり方(人気の時間帯か、空きの多い時間帯か)によって、適切な水準が変わります。

キャンセル料の定めを点検する順番

  1. キャンセルの時期ごとに、金額を分けているか

    はい次の問いへ

    いいえ一律の金額・割合にしている。時期を分けて、それぞれの損害の見込みに合わせる

  2. 無断・直前のキャンセルでも、施術料金の全額を超えていないか

    はい次の問いへ

    いいえ全額を超える定めは、平均的な損害を超えるおそれが大きい。見直す

  3. お客様の責めによらないキャンセル(サロン都合・天災・安全上の中止)を、キャンセル料の対象から外しているか

    はい次の問いへ

    いいえ対象から外す。外さないと、サロンの責任による場合まで請求する定めになる

  4. お客様から求められたときに、金額の根拠を説明できるか

    はい規約の運用ルールとして、説明の担当者と手順を決める

    いいえ損害の見込みの内訳を、簡単にでもメモに残しておく

最後の問いは、消費者契約法9条2項に関係します。事業者は、違約金を請求する場合に、お客様から説明を求められたときは、その算定の根拠の概要を説明するよう努めなければなりません。努力義務ですが、根拠を説明できない違約金は、争いになった場面で弱くなります。

もう一つ、規約の書き方で注意したいのが、「サロンは一切の責任を負いません」といった全部免責の条項です(「理由のいかんを問わず一切返金しません」という定めは、9条や10条との関係で問題になります)。事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項や、サロンの不法行為による損害賠償責任の全部を免除する条項は、消費者契約法8条1項1号・3号により無効です。故意または重大な過失による場合に責任の一部を免除する条項も、同項2号・4号により無効になります。施術の事故を想定した免責の書き方は、同意書の側で、通常の反応と過失とを区別する形に整理します(詳しくは施術同意書の項)。これらに当たらなくても、消費者の権利を制限し義務を加重する条項で、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、同法10条により無効になります。

実務での注意点:コースの契約者に、単発メニューの規約をそのまま当てはめない

  • 1か月を超え5万円を超えるコースの契約者には、クーリング・オフと中途解約の定めが、法律で優先して適用されます(特定商取引法48条・49条)。単発メニューの「当日キャンセルは全額」という規約を、コースの解約に当てはめることはできません。
  • コースの中途解約の精算を、規約の中では計算せず、法令と法定書面に委ねる構成にした例は、サブスク・回数券のページで整理しています。規約側で独自の解約手数料を決めてしまうと、書面との食い違いの原因になります。
  • コースの回数を「消化した」とみなす場面(当日キャンセル、無断キャンセル)を、中途解約の精算で「提供済み」と数えるかどうかは、争いになりやすい点です。規約と法定書面に、同じ数え方を書いておきます。

規約を契約の内容にする手順と、規約を変えるときの周知

規約は、書いただけでは契約の内容になりません。ネット予約や店頭で、不特定多数のお客様を相手に画一的な内容で行う取引(定型取引)の規約は、民法の「定型約款」に当たることが多く、次の手順を踏むことで契約の内容になります。

規約を契約の内容にするための手順(民法548条の2〜548条の4)
場面民法の定めサロンでの対応
契約の内容にする定型約款を契約の内容とする旨の合意があるか、サロンがあらかじめその旨を相手方に表示していれば、個別の条項にも合意したものとみなされる(548条の2第1項)予約画面に規約へのリンクと同意のチェック欄を置く。店頭では、来店時のカウンセリングシートに同意欄を設け、規約を掲示する
不当な条項相手方の権利を制限し義務を加重する条項で、信義則に反して一方的に相手方の利益を害するものは、合意しなかったものとみなされる(548条の2第2項)キャンセル料や免責の条項を、前の項の基準で点検する
内容の表示契約の前、または契約後の相当の期間内に相手方から請求があったときは、遅滞なく相当な方法で内容を示さなければならない。契約前に拒むと、契約の内容にならない(548条の3)規約をいつでもサイトで見られるようにし、請求があれば書面やデータで渡す
内容の変更一般の利益に適合する変更か、契約の目的に反せず変更の必要性・相当性などに照らして合理的な変更であれば、個別の合意なしに変更できる。効力発生時期を定め、インターネットなど適切な方法で周知する。合理性による変更は、効力発生前に周知しなければ効力を生じない(548条の4)変更日を決め、変更の内容と施行日を、サイトとメッセージと店頭で知らせる

消費者契約法3条1項3号も、定型約款に当たる契約の勧誘では、約款の内容を容易に知り得る状態に置いていない限り、お客様が内容の表示を請求するために必要な情報を提供するよう、事業者に努力を求めています。規約が読みにくい場所に埋もれていないことが、実務でも大切です。

規約を変えるときに、特に注意したいのは、すでにコースを契約しているお客様です。法定書面に書いた内容(回数、期間、金額、中途解約の精算)は、あとから規約を変更して、お客様に不利に変えることはできません。法律の規定に反する特約でお客様に不利なものは無効とされているからです(特定商取引法48条8項・49条7項)。規約の変更で影響を受けるのが単発メニューの運用ルールだけなのか、コース契約に及ぶのかを、変更のたびに仕分けておきます。

プライバシーポリシー:体調・皮膚の情報、肌写真、予約システム

エステのプライバシーポリシーは、「個人情報を大切にします」と書く文書ではなく、サロンがどんな情報を、何のために、どう扱うかを、お客様に説明するための書類です。法律が求めているのは、次の項目です。

プライバシーポリシーに書く項目と、法律の根拠
項目書くこと根拠(個人情報保護法)
取得する情報氏名・連絡先、予約履歴、体調・既往歴・服薬・皮膚の状態、施術の記録、肌の写真、問診の回答20条(適正な取得)、21条(利用目的の通知等)
利用目的予約の受付と連絡、施術の可否の判断と安全な施術、施術の記録、契約の履行と精算、案内の送付など。できる限り特定する17条1項、21条
安全管理と委託先保管の方法、アクセスの制限、予約システムなどを使う場合の委託先の監督23条、24条、25条
第三者への提供同意なく提供しないこと。委託・共同利用・外国への提供がある場合はその内容27条、28条
要配慮個人情報病歴などを取得する場合の同意の取り方2条3項、20条2項
開示等の請求開示・訂正・利用停止などの請求の窓口と手続32条〜35条
漏えい時の対応漏えいが生じたときの本人への通知と報告の方針26条

体調・皮膚の情報は、どこから要配慮個人情報か

要配慮個人情報は、本人の病歴などの、不当な差別や偏見が生じないように取扱いに特に配慮を要するものです(個人情報保護法2条3項)。取得するには、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です(同法20条2項)。法律は病歴を挙げ、政令は、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)があること、医師等が行った健康診断等の結果、健康診断等の結果に基づき、または疾病・負傷その他の心身の変化を理由として、医師等により心身の状態の改善のための指導または診療・調剤が行われたこと、などを定めています(同法施行令2条)。

エステの問診は、この線のどちら側にも触れる情報を含みます。「乾燥肌」「敏感肌」といった肌質の自己申告は、通常は個人情報にとどまりますが、「皮膚科で通院中」「処方された薬を使っている」「アトピー性皮膚炎と診断された」といった内容は、病歴や、医師による診療・調剤に当たり得ます。エステのプライバシーポリシーでも、体調・既往歴・皮膚の状態・施術の履歴は、要配慮個人情報を含み得るものとして位置づけておくのが無難です。自由記入欄に診断名や服薬が書かれることは避けられないため、問診全体を要配慮個人情報として取り扱う前提で同意を取る運用が、実務的には安全です。カウンセリングシート側の同意欄の作り方は、施術同意書のページで整理しています。

取得に際しての利用目的の扱いも見落とされがちです。契約書やカウンセリングシート、予約フォームなど、本人から直接書面(電磁的記録を含む)で個人情報を取得する場合は、あらかじめ本人に利用目的を明示しなければなりません(同法21条2項)。プライバシーポリシーを別のページに載せているだけでは足りず、シートやフォームの冒頭に、目的と同意の文を置きます。

肌の写真は、使い道ごとに同意を分ける

肌の写真は、申告された健康情報と結び付くと、慎重に扱うべき情報になります。取得に使うウェブフォームの冒頭に同意文と必須のチェック欄を置く設計は、エステのカウンセリングをウェブフォーム化する場合にも使えます(講座の場合はスクール・講座のページ)。写真の使い道は、少なくとも次の三つに分け、それぞれ別に同意を取ります。

広告に使う写真の同意の取り方と、掲載後の削除の申出への対応は、エステの広告表示のページで詳しく整理しています。

予約システム・メッセージアプリ・広告配信ツール

ネット予約やメッセージでの連絡には、外部の事業者のサービスを使います。ここで問題になるのが、個人データの「第三者提供」にあたるかどうかです。個人データを第三者に提供するには、原則として本人の同意が必要です(同法27条1項)。ただし、利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いの全部または一部を委託することに伴って提供される場合は、提供を受ける者は「第三者」に当たりません(同条5項1号)。予約管理を外部のシステムに任せる場合は、この委託に当たることが多く、その場合は委託先の安全管理を監督する義務があります(同法25条)。プライバシーポリシーには、予約管理・連絡のために外部のサービスを利用していること、その利用が委託であること、委託先の監督を行うことを書きます。

提供先の事業者が、預かった情報を自社の目的でも使えるようなサービスであれば、委託の枠を超えるおそれがあります。サービスの利用規約で、提供先がデータをどう扱うかを確認します。

サービスの運営事業者や保存先が外国にある場合は、外国にある第三者への提供として、同意または相当措置を継続的に講ずる体制の確認が必要です(同法28条)。同意を得る場合は、あらかじめ、その外国の個人情報保護の制度や、提供先が講ずる保護措置などを本人に提供しなければなりません(同条2項)。提供に当たるかどうかは、サービスの契約内容と運営の実態で分かれるため、利用前に確認し、プライバシーポリシーに書きます。

広告配信の面では、閲覧・購買の履歴を分析して広告を表示することを利用目的に入れるサロンがあります。広告配信ツールのタグをサイトに入れ、閲覧の情報を外部に送る場合、送られた情報が提供先で他の情報と結び付いて個人データになることが想定されるときは、個人関連情報を提供する事業者に、本人の同意が得られていることなどの確認が求められます(同法31条1項。個人関連情報の第三者提供の制限)。サイトの運営者と広告配信の事業者のどちらが提供する側に当たるかは仕組みによって異なるため、利用するサービスの説明で確認します。この仕組みを使わないサロンは、広告目的の分析をプライバシーポリシーに書く必要はなく、使うのであれば、利用目的と外部への送信の内容を書きます。

匿名加工・仮名加工の情報を作る場合

施術のデータを統計にして外部に提供する、売上や利用傾向の分析に使うといった場合に、個人が分からないよう加工した情報を作ることがあります。個人情報を一部削除するなどして、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないようにしたものが仮名加工情報(個人情報保護法2条5項)、識別できず復元もできないようにしたものが匿名加工情報(同条6項)です。仮名加工情報は、原則として第三者に提供できません(同法41条6項)。匿名加工情報を作成したときは、含まれる情報の項目を公表し(同法43条3項)、第三者に提供するときは、項目と提供の方法を公表して、提供先に匿名加工情報であることを明示します(同条4項)。小規模なサロンでは、これらの加工情報を作らないことが多いため、作らないのであれば、プライバシーポリシーに無理に書く必要はありません。

条文例:利用目的の書き方(例)

利用目的

当店は、取得した個人情報を、次の目的の範囲で利用します。(1)予約の受付・確認・変更の連絡 (2)施術の可否の判断と、安全な施術の提供 (3)施術の経過の記録と、次回以降の施術内容の提案 (4)契約の履行、料金の請求・精算、法令に基づく書面の交付 (5)同意をいただいた方への、新メニュー・キャンペーンのご案内

要配慮個人情報

体調、既往歴、服薬、アレルギー、皮膚の状態など、病歴その他の要配慮個人情報に当たり得る情報は、ご本人の同意を得たうえで取得し、前項(2)(3)の目的の範囲でのみ利用します。

目的の欄に「サービス向上のため」とだけ書くと、特定が足りないと見られやすくなります。何に使うかを具体的に書きます。

特定商取引法に基づく表記:ネット予約・事前決済と、中途解約の書き方

ネットで予約や申込みを受け付けるサロンは、特定商取引法の「通信販売」としての表示が必要になります。通信販売には、電話やインターネットなど郵便等で、役務の提供契約の申込みを受けて行う役務の提供も含まれます(同法2条2項、同法施行規則2条)。決済をネットで済ませるかどうかは問いません。予約フォームでメニューを選んで申し込めるなら、申込みを受けていることになります。広告には、次の事項の表示が必要です(同法11条、同法施行規則23条)。

通信販売の広告に表示する事項と、エステでの書き方
表示事項根拠エステでの書き方
役務の対価(料金)特定商取引法11条1号メニューごとの料金。税込か税別かを明記する。追加料金(オプション・指名料など)があれば、その内容と額(施行規則23条4号)
支払の時期と方法同条2号事前決済か店頭払いか、使える決済方法、決済の時期
役務の提供時期同条3号予約した日時に提供すること。期間または期限をもって表示する(施行規則24条2号)
申込みの期間同条4号期間限定のメニューは、その期間
申込みの撤回・解除に関する事項同条5号キャンセルの期限とキャンセル料、日程の変更、コースの場合のクーリング・オフと中途解約。見やすい箇所に明瞭に表示する(施行規則24条3号)
事業者の氏名・名称、住所、電話番号施行規則23条1号個人事業の場合も、氏名と住所、電話番号を表示する
代表者・責任者の氏名施行規則23条2号法人で、電子情報処理組織(インターネット)を使って広告する場合
2回以上継続して契約する必要があるとき施行規則23条7号その旨、金額、契約期間その他の条件(コースやサブスクの申込み)

ネットで申込みを受ける画面には、さらに、申込みの最終確認画面に、役務の分量(回数など)と、対価、支払の時期と方法、提供の時期、申込みの期間、申込みの撤回・解除に関する事項を表示しなければなりません。申込みになることが分かりにくい表示や、これらの事項について人を誤認させる表示も禁止されています(同法12条の6)。表示に違反すると、主務大臣による指示や業務停止命令の対象になります(同法14条・15条)。

通信販売の商品には、広告に返品の特約を表示していなければ、受け取った日から8日以内は返品できるという制度があります(同法15条の3)。しかし、この規定が対象にしているのは商品の売買契約であり、単発の施術という役務の予約には、この返品の制度は適用されません。その代わりに、キャンセルの条件を、表記と規約に正確に書く必要があります。表記と規約でキャンセルの条件が食い違うと、サロンの説明が一貫せず、争いになったときに不利になります。

「店舗販売のみ」と書いたまま、ネットで申込みを受けない

特商法表記で、販売方法を店舗での販売のみとしたうえで、中途解約の違約金の上限を表示している例があります。店舗で契約が完結するサロンであれば、このような書き方は一つの整理です。ただし、予約フォームでコースの申込みや事前決済を受けるようになった場合は、「店舗販売のみ」の表記と運用がずれてしまい、通信販売の表示事項が足りなくなります。表記は、運用を変えたときに必ず見直します。

中途解約の違約金は、「2万円又は10%」で止めない

エステのコース契約で、中途解約の際に請求できる額の上限は、特定商取引法49条2項と同法施行令別表第四の一の項が定めています(開始前の2万円は「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」、開始後の「いずれか低い額」は「契約の解除によつて通常生ずる損害の額」の欄の定めです)。解除が役務の提供開始前であれば2万円、開始後であれば、提供された役務の対価に、2万円または契約残額(対価の総額から提供済みの役務の対価を引いた額)の10%に相当する額のいずれか低い額を加えた額が、上限です。特商法表記に「中途解約の場合は2万円または契約残額の10%の違約金」とだけ書くと、「いずれか低い額」と「提供済みの役務の対価」が抜け、読み手には、2万円とも、残額の10%とも受け取れます。残額を基準に上限を示すこと自体は一般的ですが、表記を作るときは、「契約残額」という法律の言葉に合わせ、「いずれか低い額」と「提供済みの役務の対価」まで書く形にそろえます。

中途解約の欄の書き方

避けたい中途解約の場合は、2万円または契約残額の10%を違約金として申し受けます。

見直し契約の解除が役務の提供開始前の場合は、2万円を超える額を請求しません。開始後の場合は、提供済みの役務の対価に、2万円または契約残額の10%に相当する額のいずれか低い額を加えた額を超えて請求しません。

法律が定める上限は「いずれか低い額」であり、提供済みの役務の対価は別に清算される。上限として読める書き方にする

避けたい回数券の途中解約はお受けできません。

見直しコースの中途解約は、将来に向かって行うことができます。精算の方法は、契約書面に記載のとおりです。

特定継続的役務提供に当たる契約で、解約を認めない定めは、お客様に不利な特約として無効になる(同法49条7項)

この上限は、エステ(別表第四の一の項)のものです。同じ別表の二の項の美容医療は、金額も割合も違います(5万円または契約残額の20%のいずれか低い額)。他の類型の書式を転用すると、上限を取り違えます。コースの解約の詳細は、クーリング・オフと中途解約のページで整理しています。

前払いで5万円を超える金銭を受け取る場合の財務書類の備え置きは、特定商取引法45条の問題で、特商法表記の欄ではなく、サロンの事業所に備え置く書類の問題です(開業のページで整理しています)。自宅サロンで住所を表示することに不安がある場合の考え方も、同じページにあります。

規約・プライバシーポリシー・表記・法定書面を、食い違いなく保つ点検

書類の食い違いは、一度作ったときよりも、あとから一部だけ直したときに起こります。メニューの追加、料金の改定、予約システムの変更、コースの新設のたびに、同じ項目が複数の書類に書かれているため、一か所の直し漏れが生じます。

同じ項目が書かれている場所と、直し漏れの例
項目書かれている場所直し漏れの例
料金・税込か税別か予約画面、特商法表記、メニュー表、契約書面メニュー表だけ税込に改め、予約画面は税別のままになる
キャンセルの期限と料金利用規約、予約画面、特商法表記、同意書規約は24時間前、予約画面の注意書きは前日まで、になる
コースの期間・回数・総額契約書面、概要書面、予約画面、広告広告では「月4回」、契約書面では「月2回」のまま、になる
中途解約の精算契約書面、概要書面、特商法表記、規約規約でコースの解約手数料を独自の金額にしてしまう
事業者名・住所・電話番号特商法表記、プライバシーポリシー、契約書面、サイトのフッター移転後に、特商法表記だけ旧住所のままになる
写真の取扱いプライバシーポリシー、同意書、広告の掲載同意広告掲載の同意の範囲が、同意書と掲載同意書で違う

規約・表記を改訂するときの点検

  • 変更した項目が、ほかの書類(法定書面・予約画面・同意書・広告)にも書かれていないか、一覧で確認した
  • コースの契約者に影響する変更は、法定書面の内容と矛盾せず、お客様に不利な変更になっていない
  • キャンセル料の区分ごとに、損害の見込みの根拠を説明できる
  • プライバシーポリシーの利用目的が、カウンセリングシートと予約フォームの同意文と同じ内容になっている
  • 外部のサービス(予約システム、メッセージアプリ、広告配信ツール)の利用が、委託か提供か、外国への提供の有無まで整理されている
  • 変更の内容と施行日を、サイト・メッセージ・店頭で周知する準備ができている
  • 特商法表記の販売方法・決済方法が、実際の運用と合っている

改訂の履歴は、「いつ・何を・なぜ」変えたかを、一覧にして保管しておきます。トラブルになったとき、契約をしたその時点の規約がどれだったかを示せることが、サロンの説明の土台になります。コースの契約書面は契約日の版を契約者ごとに保管し、規約は版ごとに施行日を記録します。

起きがちなこと:書類を作ったあとに崩れる四つの場面

  • 規約の予約画面への同意欄はあるが、店頭で予約したお客様には規約を見せておらず、規約を契約の内容にしたと言いにくい
  • キャンセル料を「一律で施術料金の全額」としているため、前日に連絡したお客様にも請求し、算定の根拠を説明できずに返金を求められる
  • コースの契約者にも、単発メニューと同じ「当日キャンセルは全額」の規約を当てはめ、法定書面の中途解約の内容と食い違う
  • カウンセリングシートに診断名や服薬が自由記入されているのに、プライバシーポリシーには要配慮個人情報の記載がなく、同意の文もない
  • 予約システムを外部のサービスに替えたが、プライバシーポリシーの委託先の記載を更新しておらず、外国にある事業者のサービスだと気づいていない
  • ネットでコースの申込みを受け付けるようにしたのに、特商法表記が「店舗販売のみ」のままで、申込みの最終確認画面にも回数と総額の表示がない
  • 移転や電話番号の変更で、サイトのフッターは更新したが、特商法表記と契約書面の様式は旧住所のままになっている

どの場面も、書類を作ること自体ではなく、運用が変わったときに、どの書類が連動するかを決めていないことから起きています。メニュー表と売り方の表を最初に作り、その表の変更を起点に、規約・プライバシーポリシー・特商法表記・法定書面を見直す、という流れを、サロンの運用に組み込んでおきます。広告の表示と契約内容を一致させる考え方はエステの広告表示のページで、キャンペーン価格で契約したときの精算は体験コースと初回限定価格のページで扱っています。

よくあるご質問

エステサロンに利用規約があれば、コース契約の法定書面は不要ですか?

不要にはなりません。1か月を超え、総額が5万円を超えるコースは特定継続的役務提供に当たり、契約前の概要書面と契約後の契約書面を、法律の様式どおりに交付する必要があります(特定商取引法42条)。規約は予約やキャンセルなどの運用の約束事で、法定書面の代わりにはなりません。

キャンセル料は何パーセントまでなら有効ですか?

有効といえる決まった割合はありません。消費者契約法9条1項1号により、キャンセルの時期などの区分ごとに、同種の契約の解除に伴ってサロンに生ずべき平均的な損害の額を超える部分が無効になります。前日、当日、無断の不来店など時期で区分し、それぞれの損害の見込みを説明できるようにしておきます。

カウンセリングシートで聞く体調や皮膚の情報は、要配慮個人情報ですか?

肌質の自己申告などは通常は個人情報にとどまりますが、病歴、医師による診療や調剤が行われたこと、障害があることなどは要配慮個人情報に当たり得ます(個人情報保護法2条3項、同法施行令2条)。自由記入欄にそうした内容が書かれることを想定して、取得の前に同意を得る形で運用するのが安全です(同法20条2項)。

ネット予約だけで、特定商取引法に基づく表記は必要ですか?

必要です。ネットなどで役務の提供契約の申込みを受けるのは通信販売に当たり、料金、支払の時期と方法、提供時期、キャンセルなど申込みの撤回・解除に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号などの表示が必要です(特定商取引法11条、同法施行規則23条)。決済をネットで行うかどうかは問いません。

規約を変更したとき、すでに契約しているお客様にも適用できますか?

民法548条の4により、一般の利益に適合する変更や、合理的な変更で、効力発生時期を定めて事前にインターネットなどで周知した場合は、個別の合意なしに変更できます。ただし、コース契約の法定書面に書いた内容を、法律の規定に反してお客様に不利に変える変更は無効です(特定商取引法48条8項・49条7項)。

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本ページは一般的な情報提供です。個別のサロンに必要な対応は、メニュー、使用する機器、料金の受け取り方、勧誘の方法によって異なります。事務所の作成例・相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきたエステサロン・美容施術サービスの契約書、法定書面、規約、同意書、業務委託契約書などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 厚生労働省 / 国民生活センター

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