リラクゼーション(アロマ・ヘッドスパ・もみほぐし)メニューを扱うエステの注意点

メニューの名前だけでは、法律上の位置づけは決まりません。行為の実質と売る目的の両面から、免許、表示、特商法、契約を確認します。

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名称を「ケア」や「ほぐし」に変えても、行為の実質が免許を要するものなら問題は残ります。逆に、同じ手技でも「小顔」「痩せる」と訴求してコースで売れば、エステの規制がかかります。

このページの要点

  • あはき法1条は、あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅうを業とする者に免許を求め、12条は医業類似行為を業とすることを禁じる。判断は名称ではなく行為の実質で行う。
  • 特定商取引法のエステは、皮膚の美化・体型を整える・体重を減ずる施術で、期間1か月超・5万円超(施行令別表第四の一、24条)。疲労回復を目的とするメニューでも、広告で美容を訴求すればエステとして扱われうる。
  • 「治る」「治療」「改善」は医療を思わせる表現で、避ける。効果の表示は景品表示法5条1号、コース広告は特定商取引法43条、化粧品等の効能は医薬品医療機器等法66条が関係する。
  • セラピストを業務委託にするときは、資格・免許の表明保証、歩合・指名・キャンセル料の配分、事故の分担を決め、オイル付きのタオルの乾燥機使用による発火の注意も運用に入れる。
アロマ、ヘッドスパ、もみほぐしといったリラクゼーションのメニューは、エステの看板の下でも、別々の法律の問題が生じます。無資格で「マッサージ」と称して施術を業にすると、あん摩マッサージ指圧師等の法律の問題になりえます。痩身や美肌を目的にコースで売れば、特定商取引法のエステに当たります。「治る」「改善」といった医療を思わせる言い方は広告の問題を生み、セラピストを業務委託にすれば、免許の確認から事故の分担まで、契約で決めることが増えます。本ページは、メニュー表を作る前に確認したい点を、行為の実質と表示の両面から整理します。

リラクゼーションメニューを「行為」と「目的」で分けて考える

リラクゼーションのメニューは、名前だけでは法律上の位置づけが決まりません。見るべきなのは、二つです。一つは、実際に何をするのかという「行為の実質」。もう一つは、何のために売るのかという「目的」です。行為の実質は、免許が必要かどうか、医行為や医業類似行為に当たらないかを左右します。目的は、特定商取引法のエステに当たるかどうか、広告の規制がどこまでかかるかを左右します。

リラクゼーションの主なメニューと、最初に確認する法律
メニュー最初に確認すること次に確認すること
アロマオイルを使った全身・部分のトリートメント手技の実質があん摩・マッサージ・指圧に当たらないか(あん摩マッサージ指圧師等の法律1条・12条)痩身・美肌を目的にコースで売らないか(特定商取引法41条)。オイルの安全管理
ヘッドスパ、頭皮のケア髪の施術(洗髪、整髪)を伴うか。美容師法2条は「美容」を、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法で容姿を美しくすることと定義し、6条は無免許の営業を禁じている育毛・発毛などの効果をうたう表示。頭皮に使う製品の表示
もみほぐし、ストレッチ、指圧に似た手技免許が必要な行為に当たらないか。「マッサージ」「指圧」の表示の扱い施術者の資格の確認。肩こり・腰痛などの改善をうたう表現
リンパ、フェイシャル、ボディケアなど美容目的のメニュー特定商取引法のエステ(皮膚の美化、体型を整える、体重を減ずる施術)に当たらないかコースの期間と金額(1か月超・5万円超)。広告の効果表示
足つぼ、フットケア手技の実質と、「治療」「改善」の表現足の疾患がある来店客への対応。同意書

この表のとおり、同じ「ヘッドスパ」でも、洗髪や整髪を伴うかどうかで、美容師法の問題が加わるかどうかが変わります。髪や頭皮に薬剤を使う、カットや整髪を伴うといったメニューを併設する場合は、理容師法・美容師法の範囲を、メニュー表を作る前に確認する必要があります。顔そりやメイクの境界はエステサロンの開業のページで整理しています。

メニューごとに「使用する機器・薬剤」「医療行為に該当する可能性の有無」「スタッフの資格」「想定される施術のリスク」を書き出しておくと、法律上の位置づけを整理しやすくなります。手技が中心のリラクゼーションでも、同じ項目を使えます。メニュー名から決めるのではなく、行為の棚卸しからメニュー名を決めると、後で表示を直す必要が少なくなります。

「マッサージ」と称することと、免許:あはき法1条・12条の整理

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(以下「あはき法」)1条は、医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業としようとする者は、それぞれの免許を受けなければならないと定めています。また12条は、1条に掲げるものを除くほか、何人も医業類似行為を業としてはならないと定めています(柔道整復を業とする場合は別の法律によります)。1条の違反(免許なくあん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅうを業とすること)と12条の違反は、いずれも50万円以下の罰金の対象です(同法13条の7第1項1号・4号)。

ここで押さえたいのは、二つの条文が規制しているのは、「業とする行為」であって、看板や名称の言葉そのものを直接定めたものではないという点です。1条は免許を要する行為の業を、12条は医業類似行為の業を、それぞれ対象にしています。12条自身は「医業類似行為」の定義を置いていません。したがって、「リラクゼーション」「ほぐし」「ケア」と名前を変えれば免許が不要になるとも、「マッサージ」と書いただけで直ちに違法になるとも、断定はできません。行為の実質が、免許を要する行為や医業類似行為に当たるかどうかで判断されます。一方で、表示は、行為の実質を示す材料として扱われやすく、「マッサージ」「指圧」と表示して施術を提供している場合は、実質もそれらに当たると見られやすくなります。

表示の言葉と、気をつける理由
表示の言葉気をつける理由書き方の考え方
マッサージ、指圧免許を要する行為の名称そのもの。表示と実質が一致していると見られやすい無免許の施術者が行うメニューには使わない。免許を持つ施術者が行うなら、施術者が免許を持つことを明示する
整体、カイロ、骨盤矯正免許の対象となる行為ではないが、医療行為や医業類似行為と誤認される可能性がある「治療」「矯正」「改善」の効果を示す表現を避け、手技の内容を事実として書く
リラクゼーション、ほぐし、ケア名称を変えても、行為の実質で判断される点は変わらない目的(心身のリラックス)と手技の内容を、事実に即して書く。疾患の治療・症状の改善を目的としないと書く
リンパ、デトックス、美容整体美容目的で売れば、特定商取引法のエステの問題が加わる効果の断定を避け、コースで売るときは法定書面の要否を確認する

メニューを作る前の問い

  1. そのメニューの施術は、免許を持つ施術者が行いますか。

    はい施術者が免許を持つことを明示し、あはき法7条の広告の制限を確認する。

    いいえ免許を要する行為を行っていないか、手技の内容を一つずつ点検する。

  2. 手技の実質が、あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅうに当たる可能性がありますか。

    はい無免許の施術者には行わせない。メニューから外すか、免許者に担当させる。

    いいえ「マッサージ」「指圧」の表示を使わない。行為の内容を事実として書く。

  3. 疾患の治療・症状の改善をうたっていますか。

    はい表現を改める。医業類似行為と誤認される表示を外す。

    いいえリラックスや疲れにくさの実感など、体験として書ける範囲にとどめる。

あはき法は、免許を持つ施術者が営む施術所の広告にも制限を置いています。あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業若しくはきゅう業又はこれらの施術所については、何人も、施術者である旨と氏名・住所、業務の種類、施術所の名称・電話番号・所在の場所、施術日・施術時間、厚生労働大臣が指定する事項以外の事項について、広告をしてはならないとされています(同法7条1項)。さらに、施術者の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはなりません(同条2項)。免許を持つ施術者を置いてメニューを案内する場合は、この制限を前提に広告の内容を絞る必要があります。

実務での注意点:「マッサージ」の表示と免許をめぐる論点

  • セラピストと業務委託契約を結ぶ場合は、施術者が行う内容とメニュー表の表示を、契約の中でどう整理するかが論点になります。
  • 出張でホテルなどの提携先に出向く場合は、施術者の表示が提携先との取り決めにも関わります。
  • 免許が必要な施術と、免許が不要な施術を一つの規約に載せるときは、両者を書き分けておく必要があります。
  • 共通するのは、「施術者の資格」「メニューの表示」「契約書の表明保証」の三つを同時に点検する必要があることです。

医療を思わせる表現と、効果の書き方

「治る」「治療」「改善」といった言葉は、医療の領域の言葉です。リラクゼーションのメニューで使うと、医業類似行為や医行為と誤認される表示になります。手技を中心にした施術では、「治る」「治療」「改善」などの表現を使わないこと、医業類似行為と誤認される表現を避けること、ビフォーアフターを誇張しないことを、表現のルールとして決めておきます。

効果の表示には、複数の法律が重なります。施術そのものの効果を示す表示は、景品表示法5条1号(実際のものよりも著しく優良であると示す表示)の問題になります。特定継続的役務提供に当たるコースの広告では、役務の内容又は効果について著しく事実に相違する表示などを禁じる特定商取引法43条が加わります。さらに、施術に使うオイルや化粧品の効能をうたうと、医薬品、医薬部外品、化粧品などの効能・効果について虚偽又は誇大な記事の広告を禁じる医薬品医療機器等法66条1項が関係します。具体的な広告表示の整理はエステの広告表示のページで扱っているため、ここではリラクゼーション特有の言い換えに絞ります。

リラクゼーションの表示の書き換え例(一般的な設計例)

症状への言及

避けたい書き方肩こり・腰痛が治る、慢性の痛みを改善する。

整えた書き方深いリラックスを目的とした手技です。疾患の治療や症状の改善を目的とするものではありません。

「治る」「改善」は医療の領域の言葉で、免許や医行為の問題にもつながります。目的をリラックスに置き、治療ではない旨を添えます。

効果の断定

避けたい書き方1回で小顔になる、確実に疲れが取れる。

整えた書き方施術後の感じ方には個人差があります。効果を保証するものではありません。

効果の保証は、景品表示法5条1号や特定商取引法43条の問題になります。保証しない旨を、広告と契約書の両方で一致させます。

メニュー名

避けたい書き方医療行為を想起させる名称(治療、矯正、リハビリなど)

整えた書き方手技の内容を事実に即して表す名称(アロマトリートメント、ヘッドスパ、ボディケアなど)

名称を変えても、実質で判断される点は変わりません。名称の変更は、誤認を防ぐ手段であって、問題を解消する手段ではありません。

ビフォーアフターの写真や体験談は、リラクゼーションでも使われます。「リラックスの度合い」は客観的に測れないため、写真や数値で効果を示す表現は、根拠を示せなければ誇大な表示とされるおそれがあります。体験談を使うときは、本人の同意の範囲と掲載期間、削除の申出への対応を決めておきます(同意書の考え方は施術同意書のページを参照してください)。

特商法のエステに当たるか:リラク系メニューのコース販売

特定商取引法の特定継続的役務提供の一つであるエステティックは、政令で、「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと」と定められています(特定商取引法施行令別表第四の一の項)。期間は1か月を超え(同表第二欄)、金額は5万円を超えること(同令24条2項)が要件です。さらに、法41条2項は、特定継続的役務を、身体の美化などの目的を実現させることをもって誘引が行われるもので、その目的が実現するかどうかが役務の性質上確実でないものと定義しています。

この定義のとおり、判断の軸は「施術の目的」と「どう誘引しているか」です。肩こりの緩和や疲労回復、気分転換を目的とするリラクゼーションは、皮膚の美化、体型を整える、体重を減ずるという目的とは異なります。ところが、同じ手技でも、広告やカウンセリングで「小顔」「痩せる」「脚が細くなる」と訴求してコースで売れば、目的は美容・痩身になり、エステとして規制がかかります。整体や鍼灸を含む高額プログラムのように、中心となる役務が美容なのか健康増進なのかが不明確な場合は、広告や説明、SNSの訴求まで確認しないと判断できません。

リラク系メニューのコース販売と、エステに当たるかの判断材料
販売の形訴求する目的特定商取引法の考え方
都度払いのリラクゼーション(1回ごとに完結)疲労回復・リラックス1回ごとに完結する契約は、1か月超の継続的な提供を約するものではなく、通常は当たらない
回数券(有効期限なし)で、疲労回復・リラックスを訴求疲労回復・リラックス目的がエステの定義に当たらなければ対象外。ただし、広告に美容・痩身の訴求が混ざっていないかを確認する
3か月・6か月のコース。「小顔」「ボディラインを整える」を訴求美容・体型を整えるエステの定義に当たる施術を、1か月超・5万円超で売ると該当する。概要書面・契約書面、クーリング・オフなどが必要
月額制。ヘッドスパと「美肌ケア」を組み合わせ一部が美容美容に当たる部分があれば、全体の判断に影響する。コースの内容ごとに分けて設計する

該当すると判断した場合の義務(概要書面と契約書面の交付、広告と勧誘の禁止行為、クーリング・オフ、中途解約の上限)は、特定継続的役務提供のページとサブスク・回数券のページで整理しています。該当するかどうかが微妙なメニューは、「当たらない」と決めつけず、書面を整えておく方向で設計する方が、後の負担が小さくなります。

セラピストを業務委託にするときの契約:報酬・指名・事故・免許

リラクゼーションのサロンでは、セラピストを業務委託で受け入れる形が多く見られます。委託の一般的な作り方(委託業務の範囲、労働者性、競業、研修費用、フリーランス法)はエステティシャンの業務委託契約書のページで整理しています。ここでは、リラクゼーション特有の点に絞ります。

セラピストとの契約で決めておく項目
項目決め方の考え方注意点
施術の報酬(歩合)施術売上に対する割合(歩合)で決める。割合は、店の設備や集客の負担、指名の有無などに応じて、店ごとに設計する「施術売上」の定義が曖昧だと争いになる。返金・値引き・キャンセルの後の金額とするか、税込か税別かを明記する
指名料全額を施術者に帰属させるか、一部を店に配分するかを決める指名の有無で報酬が大きく変わるため、予約の割り当て方法(誰が指名を受けるか)もあわせて決める
オプション、延長追加メニューの売上の配分率を、基本の施術と同じにするか別にするかを決める物販と同様に、強引な勧誘の動機にならないか確認する
キャンセル料の配分来店客からキャンセル料を受け取った場合に、施術者にどの割合で配分するか。店の都合による予約のキャンセルでは、施術者への補償を決めておく店都合のキャンセルで、確定していた予約について予定報酬の一定割合を補償する条項は、施術者側の安心材料になる
資格・免許法令上資格又は免許を要する行為に必要な資格を保有していることを、表明保証として書く。免許を要する行為は、免許を持つ施術者だけが行う旨も明記する契約書の表明保証と、メニュー表の表示の食い違いを防ぐ
施術事故事故が起きたら、応急措置と店への報告、店が顧客対応の主体、施術者に帰責事由があれば程度に応じて賠償、店が賠償したら帰責割合で求償、店の設備・材料・指示に起因する分は店が負担、という流れを決める賠償に上限を置く場合は、保険の支払限度額や、受領した報酬の額などを基準にする。ただし、来店客に対する店の責任を制限する条項は、消費者契約法8条の制約を受ける

表の最後の行で、賠償の上限は「店と施術者の間の分担」を決めるものです。来店客に対しては、店が全面的に責任を負う場面があります。したがって、施術者との契約で上限を置いても、来店客への賠償の窓口は店に残ります。店が賠償した後に、帰責割合に応じて施術者に求償するという順序で決めておくと、現場の対応が混乱しません。施術者が加入する賠償責任保険の有無と、店が加入する保険との関係も、あわせて決めます。

業務委託の契約では、書面または電磁的方法による取引条件の明示が必要になる場合があります。フリーランス法3条は、業務委託事業者に対し、特定受託事業者に業務委託をした場合に、直ちに給付の内容、報酬の額、支払期日などを明示することを求めています。委託の対象になる施術者が個人であれば、この法律の対象になる可能性があるため、契約書とは別に、条件を明示する書面を整えます。

労働者性にも注意が必要です。マニュアルの扱いは指揮命令に見えない書き方にし、勤務日数・時間は目安として、裁量を制限しない旨を書くのが一般的です(具体的な書き方は上記の業務委託契約書のページ)。また、労働関係法令に基づく権利を主張しないという一文は置かず、業務を受けるかどうかはその都度自由に判断できると書く方が、実態に合います。リラクゼーションのセラピストは、店の予約枠に合わせて出勤する形が多いため、出勤時刻の指定や、他店での勤務の全面禁止を置くと、労働者に近い実態になりやすい点に注意が必要です。

アロマオイル・精油・リネンの安全管理と同意書

アロマやオイルを使うメニューでは、皮膚への刺激とアレルギー、そして火災の三つが、リラクゼーション特有の安全上の論点です。

皮膚の反応については、事前の申告が重要です。契約書や同意書には、重度の皮膚疾患・炎症・感染症・創傷、妊娠中、発熱時、体調不良時、服薬中、アレルギーや既往症の申告漏れ、飲酒などを、施術を断る・中止する事由として列挙するのが一般的です。オイルを使うメニューでは、特に、使用するオイルや精油のアレルギーの有無、妊娠中かどうか、皮膚の状態を、施術前に確認します。申告された内容は、健康に関する情報として、取得の同意を得て扱います。同意書は、リスクの説明を並べるだけでなく、通常想定される反応の範囲、申告義務、アフターケアの遵守、説明者の記録を備えた書面にします。ただし、事業者の責任を全部免除する条項は消費者契約法8条1項で無効になるため、同意書は「免責のお守り」ではなく、申告と説明の記録として機能させます。同意書の作り方は施術同意書のページで詳しく整理しています。

オイル施術の申告・中止の条項例(一般的な設計の一例)

第○条(申告)

お客様は、施術の前に、アレルギー、妊娠の有無、皮膚の状態、服薬、既往症、その他施術に関わる健康状態を、正確に申告してください。申告が不正確なために生じた不利益は、法令に反しない範囲でお客様の負担となることがあります。

第○条(中止)

施術中に、皮膚の赤みやかゆみ、体調不良などが生じた場合、または施術者が安全に施術を続けられないと判断した場合は、直ちに施術を中止します。施術者の判断で安全のために中止した場合は、回数券の1回分を消化したものとしません。

火災については、公的機関から注意が出ています。製品評価技術基盤機構(NITE)は、エステ・マッサージの店で使ったオイルの付いたタオルを、洗濯後に乾燥機で乾燥させたり、重ねて置いたりすると、油が酸化する際の熱がこもって発火するおそれがあるとして、注意を呼びかけています。オイルを使うサロンでは、使用済みのタオルを乾燥機にかけない、洗濯後は広げて干して熱がこもらないようにする、洗い替えの運用を決める、といった管理を、運用ルールとして決めておきます。出張で、ホテルの客室や来店客の自宅のリネンを使う場合は、客室のシーツを汚損して処理が必要になる場面もあるため、そのルールを提携先と決めておく必要があります(出張エステ・出張リラクゼーションのページで整理します)。

これらの運用は、施術者との契約書にも反映します。器具・リネンの洗浄・消毒を徹底すること、店が承認したオイルを使い、新しい材料は事前に承認を得ること、施術前に内容と健康被害のリスク、施術後の注意を説明して店所定の同意書を取得することを、施術者の遵守事項として書いておく方法があります。

メニュー表・規約・契約書をそろえる:リラクゼーションサロンの点検

ここまでの内容を、実務で使えるよう、点検の順番に並べ直します。

メニュー表と規約の点検リスト

  • メニューごとに、使う手技・機器・オイル、施術者の資格、想定されるリスクを書き出した(行為の棚卸し)。
  • 免許を要する行為(あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう)を、免許のない施術者に行わせていない。
  • 「マッサージ」「指圧」「治る」「治療」「改善」の言葉を、メニュー表、看板、SNS、予約画面から外した(または免許者が行うことを明示した)。
  • 施術の目的が美容・痩身ではないメニューのコース販売に、「小顔」「痩せる」などの訴求が混ざっていない。
  • 1か月超・5万円超のコースがあるときは、エステに当たる可能性を前提に、法定書面とクーリング・オフ、中途解約の規定を整えた。
  • セラピストとの契約書の資格の表明保証と、メニュー表の表示が一致している。
  • オイルの申告・同意・中止の手順と、リネンの洗濯・乾燥の運用が決まっている。
  • 広告と契約書の効果の書き方が一致している(効果を保証しない旨を、広告にも書いた)。

点検の順番は、行為、表示、売り方、契約の順です。表示だけを直しても、行為が免許の必要な内容であれば解決しません。売り方だけを直しても、広告で美容を訴求していれば、エステとして扱われます。

起きがちなこと:リラクゼーションを加えたエステで

  • エステのサロンが、メニューの人気を理由にもみほぐしを追加し、施術者の資格を確認しないまま「マッサージ」と書いたメニュー表を作る。
  • メニュー名を「ケア」に変えただけで、手技の内容も施術者も変えず、免許の要否を検討していない。
  • 疲労回復を目的としたリラクゼーションのコースに、広告で「小顔」「ボディラインを整える」を載せ、エステのコースとして規制がかかることに気づかない。
  • 回数券の有効期限を書かず、それだけで「1か月超」の扱いになる。
  • 「肩こりが治る」「腰痛が改善する」といった言い回しが、口コミの引用や施術者のSNSを通じて、店の広告として表示される。
  • 業務委託のセラピストの資格を確認していないため、契約書の表明保証が形だけになる。
  • オイルの付いたタオルを、洗濯後に乾燥機で乾燥させ、火災につながる。
  • 同意書で責任を全部免除する書き方にして、消費者契約法8条で無効とされ、結果的に説明の記録にもならない。

リラクゼーションを加えると、エステの契約書面や規約は、そのままでは足りなくなります。メニューを一つ増やすたびに、行為・表示・売り方・契約の四つを確認する習慣を付けておくと、後から直す手間が減ります。

よくあるご質問

無資格でも「マッサージ」というメニューを出してよいですか?

あはき法1条は、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業としようとする者に免許を求めています。メニューの名称だけで決まるものではなく、行為の実質で判断されますが、「マッサージ」と表示して提供していれば、実質もそれに当たると見られやすくなります。免許のない施術者が行うメニューには、この表示を使わない方が安全です。

「リラクゼーション」「ほぐし」と名前を変えれば問題ありませんか?

名称を変えるだけでは解決しません。あはき法の免許や医業類似行為の問題は、行為の実質で判断されます。名称は誤認を防ぐ手段であり、行為そのものが免許の必要な内容であれば、名称を変えても問題は残ります。手技の内容と施術者の資格をあわせて確認してください。

ヘッドスパやもみほぐしのコースも、特定商取引法のエステになりますか?

施術の目的で判断します。エステは、皮膚の美化、体型を整える、体重を減ずるための施術です。疲労回復やリラックスだけを目的とするメニューは、通常は当たりませんが、広告やカウンセリングで小顔や痩身を訴求してコースで売れば、1か月超・5万円超の要件を満たす場合にエステとして規制がかかります。

セラピストを業務委託にするとき、免許の確認はどのように契約に反映しますか?

契約書に、法令上資格又は免許を要する行為に必要な資格を保有していることの表明保証を置き、免許を要する行為は免許を持つ施術者だけが行う旨を書きます。あわせて、メニュー表の表示と契約書の記載が食い違わないよう確認します。

アロマオイルの付いたタオルは、乾燥機にかけてもよいですか?

避けてください。製品評価技術基盤機構(NITE)が、オイルの付いたタオルを乾燥機で乾燥させたり重ねて置いたりすると、油の酸化による熱で発火するおそれがあるとして注意を呼びかけています。洗濯後は広げて干し、熱がこもらない運用にしてください。

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