出張エステ・出張リラクゼーションの契約

出張は、企業のオフィス、ホテルの客室、お客様の自宅のどれかで、契約の相手方も規制も変わります。場所ごとに契約を組み分けます。

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お客様の自宅で施術を受けてもらうついでに回数券を勧めて契約すると、訪問販売の規制が全面的にかかります。

このページの要点

  • 企業との年間契約・チケット制は、回数、1回の時間、企業都合のキャンセル、施術者の確保を設計する。事業者間の取消料も、根拠を説明できる額にする。
  • 施術を受けるのは従業員個人。健康状態の申告、施術同意、要配慮個人情報の同意は本人から取り、個人ごとの情報は企業に渡さない(個人情報保護法20条2項・27条1項)。
  • ホテルとの提携では、手数料の分け方に加えて、客室内の禁止事項、施術者が中止・退室できる権限、オイル施術のリネンの扱いを決める。
  • 自宅で契約を結べば訪問販売。請求を受けた施術の契約は書面等の適用除外でも、別のコースを勧めて契約すれば8日間のクーリング・オフがかかる(同法9条・26条6項1号)。
出張の施術は、施術する場所が「企業のオフィス」「ホテルの客室」「お客様の自宅」のどれかで、契約の相手方も、かかる規制も、決めておく項目も変わります。企業と結ぶ年間契約やチケット制は、事業者どうしの契約として回数・時間・キャンセルを設計し、実際に施術を受ける従業員本人からは、申告と同意を取ります。ホテルとの提携では、手数料の分け方に加えて、客室という密室での安全とオイル施術の扱いが固有の論点です。お客様の自宅で契約を結ぶ場合は、訪問販売の規制が重なります。

出張の3つの形と、契約の相手方

店舗に来てもらう形と違い、出張では、施術者がお客様のいる場所へ出向きます。出張型のリラクゼーションやエステの契約書類を作成するときは、最初に「誰と契約し、誰が施術を受け、どこで契約を結ぶのか」を表にして整理します。この三つがそろわないまま契約書を作ると、後から条項が合わなくなるためです。

出張の3つの形
形契約の相手方施術を受ける人固有の論点
企業のオフィス(福利厚生)企業(事業者)。年間契約やチケット制企業の従業員。費用を企業が負担する場合と、従業員が一部を負担する場合がある年間の回数・時間の設計、企業都合のキャンセル、施術者の確保、従業員本人の同意と健康情報の扱い
ホテルの客室ホテルとの業務提携。施術の依頼は宿泊客から宿泊客手数料の分け方、客室内の安全と禁止事項、オイル施術とリネン、「マッサージ」の表示
お客様の自宅お客様個人(消費者)お客様本人契約を結ぶ場所による訪問販売の規制、書面とクーリング・オフ、勧誘の方法

店舗型の月額制・法人契約の組み立てはサブスク・回数券・法人契約のページで解説しています。出張の契約は、施術者が出向くことで、移動、会場の提供、客室の使用、居宅への立入りといった要素が加わる点が異なります。

また、出張型で提供する施術が、特定継続的役務提供に当たるかどうかは、場所とは別に、メニュー、期間、金額で判断します(特定継続的役務提供のページ)。単発のリラクゼーションは当たらない一方で、痩身や美肌を目的にした施術を回数券で売れば当たりえます。

企業と結ぶ年間契約・チケット制の設計

企業の福利厚生として出張リラクゼーションを提供する場合、一般に、法人向けの契約書のほか、施術者用、営業担当用の契約書や、秘密保持契約書が必要になります。法人向けの契約書で論点になりやすいのは、次の点です。

  • 年間の上限回数と、最低回数(企業が最低でもこの回数分を支払う約束)を定めるかどうか
  • 1回の施術の時間と、1日に確保する枠の数、施術者の人数
  • 企業の都合でキャンセルや日程変更をしたときの扱い(確保した施術者の費用をどこまで企業が負担するか)
  • 施術者を確保できなかったときの対応(代わりの施術者の手配、日程の振替)
  • 年間契約の途中解約と、年度をまたぐ回数の扱い
企業との年間契約で決めておく項目
項目決めること注意点
契約の形年間契約(月ごとの回数枠)か、チケット制(総回数と有効期限)か年間契約は枠の確保が前提。チケット制は有効期限の定めを置く
回数年間の上限回数、最低回数、月ごとの配分最低回数を置くと、企業が利用しなくても対価の支払義務が残ることを、契約書で明示する
時間と枠1回の施術時間、1日の枠の数、施術者の人数、準備と片付けの時間施術の時間に、準備・片付け・移動を含めるかを明記する
会場施術に使う部屋の提供者、広さ、電源、床や備品の保護会場の提供と、その安全の責任を企業に置く
キャンセル企業都合・利用者都合それぞれの、取消しの時期と費用取消料の根拠を、施術者の確保にかかる費用で説明できるようにする
施術者の確保代替の施術者の手配と、日程の振替確保できない場合の、料金の減額や振替の定め
金額の書き方1回あたりの料金、年間の総額、交通費や会場の準備費税込か税別かを、契約書と見積書で同じ書き方にそろえる
解約・更新期間満了時の更新、途中解約の可否、予告期間更新拒絶の予告期間を具体的に定める

金額の書き方については、税込表示にするか税別表示にするかで、契約書の文言が変わります。税込か税別かは、契約書、見積書、請求書で同じ扱いにそろえます。

企業都合のキャンセルの取消料は、事業者どうしの契約では、消費者契約法の「平均的な損害」の規制が直接には適用されません(同法9条1項1号は、消費者契約が対象です)。それでも、施術者の確保にかかった実際の費用を大きく超える額は、後で争いになります。取消しの時期ごとに段階を設け、各段階の割合を説明できるようにしておきます。

企業都合の取消料の組み立て例
取消しの時期取消料の考え方(例)根拠として整理しておくこと
施術日の7日前までかからない他の予約に振り替えられる期間
施術日の前々日・前日確保した枠の料金の一部施術者への報酬の補償や、移動の手配の取消しにかかる費用
施術日の当日確保した枠の料金の全部または大部分他の予約に振り替えられないこと、施術者の稼働の確保
施術者が現地に到着した後確保した枠の料金の全部到着後は他の仕事に使えないこと

表の割合は例であり、実際の費用に合わせて決めます。個人の従業員が自分で申し込み、自己負担で支払う形のチケットでは、従業員個人が消費者として契約者になるため、取消料は消費者契約法9条1項1号の「平均的な損害」を超えない額に抑える必要があります。同じ取消料でも、企業向けか個人向けかで、考え方が異なる点に注意します。

企業向けの契約書を作る前に、依頼者に尋ねる問い

  1. 費用を負担するのは企業か、従業員か、両方か。従業員が自己負担する場合は、誰が契約者になるか

    企業が契約者なら事業者間の契約、従業員が契約者なら消費者契約になり、取消料や書面の考え方が変わる

  2. 施術は会議室などの社内で行うか。部屋の提供者と、床や備品の管理は誰か

    オイルの汚れや機器の電源など、会場側の責任の線引きに直結する

  3. 施術者は常駐の固定メンバーか、日ごとに入れ替わるか。急な欠員のときの代替は誰が手配するか

    施術者の確保と、振替の定めの前提になる

  4. 従業員の健康状態の申告は、誰がいつ取るか。企業に結果を知らせる場合があるか

    健康情報は企業に渡さない設計が基本。渡すなら本人の同意が要る

  5. 1回の時間に、準備・片付け・カウンセリングの時間は含まれるか

    時間の数え方が、料金と枠の設計を左右する

企業のオフィスで従業員に直接、個別の申込みを受ける場合には、訪問販売の定めのうち、事業所に所属する人に対してその事業所で行う販売で、事業所の管理者が書面で承認したものが適用除外とされている点も確認しておきます(特定商取引法26条6項2号、施行令18条4号)。企業が契約者となる事業者間の契約は、営業のために結ぶ契約として、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売の規定の適用除外の対象になる場合がある一方(同法26条1項1号)、福利厚生としての契約が「営業のため」に当たるかどうかは、契約の実態で個別に判断する必要があります。

実際に施術を受ける従業員との関係

企業が契約者でも、施術を受けるのは従業員個人です。法人を契約者とし、利用者個人との間に直接の契約関係を生じさせない組み立てはサブスク・回数券・法人契約のページで扱っています。契約書の上でそう組んだうえでも、運用の面では、本人から取るべきものを本人から取ります。

利用者本人から取るもの
書類・手続取る相手理由
健康状態の申告(妊娠、持病、服薬、皮膚の状態など)施術を受ける従業員本人施術の可否を判断するのは、本人の当日の状態
施術同意書本人説明を受けて同意したのは本人であるという記録
要配慮個人情報の取得の同意本人病歴などの要配慮個人情報は、あらかじめ本人の同意を得なければ取得できない(個人情報保護法2条3項、20条2項)
写真・体験談の掲載の同意本人肖像やプライバシーは本人のもの。企業の同意では足りない
本人確認本人名義の貸し借り、利用枠の譲渡を防ぐ

従業員の健康情報や、どの従業員がいつどんな施術を受けたかという情報は、企業にそのまま渡さない設計が基本です。個人データを第三者に提供するには、原則として本人の同意が要るため(同法27条1項)、企業に渡す必要がある情報(利用人数や回数の集計など)と、渡さない情報(個人ごとの健康状態や施術の内容)を分けて、契約書に書いておきます。

施術同意書の作り方、通常の反応と過失の線引き、施術を断る基準は脱毛・ハイフと施術同意書のページで解説しています。出張では、これに加えて、施術を断る判断をする人が現地に施術者1人しかいないことを前提に、施術者の判断で中止できる権限を、契約書と運用の両方で認めておく必要があります。安全上の理由で施術を中止したときは、チケットの1回分を消化扱いにしないと定めておくと、施術者が判断をためらいません。

事故が起きたときの責任の分担(例)
場面運営会社・施術者企業
施術による身体の損害応急の措置、記録、保険での対応会場の提供、従業員への連絡の協力
会場の床・備品の汚損オイルや機器の使い方を施術者に守らせる。汚損の原因が施術にあれば補償会場の養生に協力する。企業側の事情での汚損は企業が負担
従業員の申告漏れ・虚偽申告された範囲で施術する。責任は申告の内容に応じて分ける従業員に正確な申告を促す
従業員どうしの苦情・トラブル施術に関するものだけ対応する社内の人間関係は企業が対応する

賠償の上限は、「残りの回数分」のように時期で大きく変わる基準にせず、直近の一定期間の支払額など、時期による偏りが出にくい基準を選びます。この考え方はサブスク・回数券・法人契約のページと共通です。

ホテルとの業務提携:客室出張、手数料、安全、オイル施術

出張で施術を行う事業者がホテルと業務提携する場合、提携契約書で決めておく中心の項目は、次のとおりです。

ホテルとの業務提携で決める項目
項目決めること注意点
依頼の範囲宿泊客の依頼に限って客室へ出張する。宿泊客以外の来訪者は対象外ホテルが予約を受けるのか、施術会社が直接受けるのかを明確にする
予約と代金の受領予約の窓口、代金を誰が受け取るか、料金の表示ホテルが代金を預かる場合は、精算の時期と方法を定める
手数料ホテルへ支払う割合または定額、精算の時期返金・キャンセルがあったときの手数料の扱いを決める
客室内のルール客室での風紀、禁止事項、同伴者がいる場合の扱い施術者の安全に直結する。中止・退室の権限を施術者に置く
衛生・リネンオイルの使用、施術に使うタオルや寝具、廃棄の方法オイルを使う施術では、リネンの火災のリスクを前提に扱いを決める
苦情・事故窓口、一次対応、ホテルへの報告客室の損傷、備品の汚損の費用負担を決める
表示ホテルのパンフレットやウェブサイトでの施術の名称と説明無資格での「マッサージ」の表示にならないよう確認する

計算例:手数料の精算の例(1回あたりの料金に対して一定割合をホテルへ支払う場合)

宿泊客から受け取る料金(税込)12,000円
ホテルへの手数料(料金の20%とする例)2,400円
施術会社の取り分12,000円 − 2,400円 = 9,600円
宿泊客が前日にキャンセルし、取消料として料金の50%を受け取った場合のホテルの手数料取消料6,000円 × 20% = 1,200円(取消料にも手数料をかけるかは契約で定める)

取り分:9,600円(通常の施術の場合)

料金は説明のための仮の数字です。手数料の割合を、キャンセル料や追加のオプション料金にもかけるかどうかを、契約書で決めておかないと、精算のたびに争いになります。

客室は、施術者にとって密室です。施術者の判断で施術を中止し、客室から退出できること、性的な要求や不適切な言動があったときにホテルへ速やかに連絡し、ホテルが協力することを、提携契約と宿泊客向けの案内の両方に入れます。来店型のサロンの迷惑行為への対応は迷惑客対策のページで扱っており、出張でもその考え方を使えます。

オイルを使う施術では、使用済みのタオルやリネンの扱いも決めておきます。ホテルとの提携では、オイル施術の衛生とリネンの火災のリスクが論点になります。客室の備品のタオルに施術のオイルをつけない、使用したリネンは施術者が持ち帰る、といった運用は、契約の条項に落とせます。

ホテルのパンフレットや予約ページに「マッサージ」と書く場合は、あん摩マッサージ指圧師の免許との関係を確認します。医師以外の人があん摩、マッサージ、指圧を業とするには免許が要ります(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律1条)。「マッサージ」という言葉を使うかどうかは、施術の実質と表示の両面から見るため、判断の考え方はリラクゼーションメニューを扱うエステの注意点のページに譲ります。

客室で、宿泊客の依頼を受けた施術のほかに、その場で追加のメニューやコースを勧めて契約を結ぶ運用は、訪問販売の規制との関係で慎重に扱う必要があります。客室が「住居」にあたるかどうかは条文だけでは断定しにくいため(特定商取引法26条6項1号)、客室での追加の勧誘は避ける、または書面の交付と8日間のクーリング・オフを前提に運用する、と決めておくのが安全です。

お客様の自宅へ出張するとき:訪問販売の規制が重なる

お客様の自宅へ出向いて、その場で契約を結ぶと、施術会社の営業所、代理店、露店・屋台などの場所以外での契約になり、訪問販売の規制がかかります(特定商取引法2条1項1号、施行規則1条)。ただし、どこで契約を結んだかで、規制の有無が変わります。開業時に出張エステを検討する場合の全体像はエステサロン開業のページにあり、ここでは契約の組み分けに絞ります。

契約を結ぶ場所と、訪問販売かどうか
場面訪問販売の見方整えること
ネットや電話で予約を受け、自宅では施術だけ行う申込みは自宅以外で受けており、ネットでの申込みなら通信販売の扱い(広告の表示義務は法11条)。事業者が電話で勧誘した場合は電話勧誘販売の問題予約ページに、料金、支払、キャンセルの条件を表示する
お客様が自宅での施術を求めて予約し、その施術の契約を自宅で結ぶ住居において契約の申込みや締結を請求した人への訪問販売は、書面やクーリング・オフなどの規定(法4条〜10条)の適用除外(法26条6項1号)。ただし氏名等の明示(法3条)と、契約しない意思を示した人への勧誘の禁止(法3条の2第2項)は、除外の範囲に含まれていない訪問先で別の勧誘をしないと決める。契約内容は書面で残す
自宅での施術の際に、新たな回数券やコースを勧めて契約する請求を受けた施術とは別の契約。訪問販売の規制が全面的にかかる申込み・契約の書面、8日間のクーリング・オフ、不実告知と威迫の禁止(法4条〜6条、9条)
ビラの配布や訪問で自宅を訪ね、施術を勧める訪問販売勧誘に先立つ氏名・目的の明示(法3条)、書面(法4条・5条)

訪問販売に当たる場合のルールは、次のとおりです。

  • 勧誘に先立って、事業者名、契約の勧誘が目的であること、施術の種類を明らかにする(特定商取引法3条)
  • 勧誘を受ける意思があるかを確認するよう努め(同法3条の2第1項)、契約を結ばない意思を示した人には勧誘を続けない(同条2項)
  • 申込みを受けたとき直ちに、契約を結んだとき遅滞なく、書面を渡す(同法4条・5条)。書面を受け取った日から8日を経過するまで、お客様は書面または電磁的記録で撤回や解除ができる(同法9条1項)
  • 撤回や解除があれば、損害賠償や違約金は請求できず(同条3項)、施術を提供していてもその対価は請求できない(同条5項)。受け取っていた金銭は速やかに返還する(同条6項)
  • 通常必要とされる回数を著しく超える施術の契約は、契約から1年以内なら申込みの撤回や解除ができる(同法9条の2第1項・2項)
  • 不実告知や、故意に事実を告げなかったことで誤認して結んだ契約は取り消せる(同法9条の3第1項)
  • お客様が自宅から退去してほしいという意思を示したのに退去せずに勧誘した場合は、消費者契約法4条3項1号の取消しの対象になる

契約の場で代金の全額を受け取り、施術もその場で終える小さな取引で、総額が3,000円に満たないときは、クーリング・オフの規定が適用されない例外があります(特定商取引法26条5項3号、施行令17条)。出張の施術は、移動を伴う分、これを超える料金になることが多いため、この例外を前提にした運用はしません。

計算例:自宅で施術を受けた際に勧められて、回数券(総額50,000円)を契約し、5日目に書面で通知した場合

契約の内容出張施術の回数券、総額50,000円。契約の日に1回の施術を受けた
受け取っていた金額50,000円
施術を受けた1回分の対価請求できない(特定商取引法9条5項)
損害賠償・違約金請求できない(同条3項)

返還額:50,000円

施術の回数券が痩身や美肌を目的にするもので、期間と金額が要件を満たすときは、特定継続的役務提供としての書面とクーリング・オフも問題になります。重なるときの書面の整え方は、取引の実態に応じて個別に確認します。

出張セラピスト・営業担当との契約と、秘密保持

出張型の事業は、施術者と営業担当の両方に外部の人材を使うことが多く、それぞれ別の契約が必要になります。セラピスト用と営業担当用の契約書を分け、秘密保持契約書も相手ごとに分けて結ぶのは、役割ごとに守るべき情報と責任が異なるためです。

出張型の事業で必要な契約
契約相手出張型で特に決めること
法人クライアント用企業年間の回数・時間、企業都合のキャンセル、施術者の確保、会場の提供
セラピスト用(業務委託)施術者移動時間と交通費の扱い、報酬の歩合、キャンセル時の補償、代わりの施術者、事故と保険
営業担当用(成果報酬)営業担当営業の範囲、成果報酬の基準、勧誘のルール、顧客情報の扱い
秘密保持契約(NDA)企業・施術者・営業担当顧客企業と利用者の情報、料金などの取引条件、終了後の扱い
ホテルとの提携契約ホテル前の節の項目

セラピストとの業務委託契約の組み立ては、エステティシャンとの業務委託契約書のページで解説しています。施術者の報酬を歩合で定める場合は、確定した予約を店の都合でキャンセルしたときに予定報酬の一部を補償する条項を置くことがあります。出張では、施術者が移動して現地で待機するため、キャンセルや日程変更のときの補償を、あらかじめ決めておく意味が大きくなります。対応できない予約を、お客様の同意を得て他の委託施術者に担当させる条項は、代替性を示す要素にもなります。

  • 個人の施術者に業務を委託する場合は、取引条件の書面等での明示(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律3条)が問題になる。従業員を使用する事業者など特定業務委託事業者に当たる場合は、報酬の支払期日(同法4条)、契約期間が政令で定める期間以上の委託での禁止行為(同法5条)にも注意する
  • 特定業務委託事業者が、一定の期間以上続く継続的な業務委託を解除するときは、原則として30日前までに予告する(同法16条1項)
  • 雇用された施術者に違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約は、労働基準法16条が禁じている。雇用か業務委託かは契約書の名称ではなく、働き方の実態で判断される
  • 営業担当への成果報酬の基準に、勧誘の方法の違反を理由とする減額や解除を結びつけておく

営業担当がお客様個人の自宅を訪問して施術のコースを勧める場合は、前の節の訪問販売の規制がかかります。勧誘の違反で行政処分を受けるのは事業者であるため、営業担当への委託契約には、勧誘のルールの遵守を入れます。体験や勧誘の場面の具体的な言い回しは体験コース・初回限定価格と勧誘のルールのページに整理しています。

秘密保持契約は、企業の従業員の利用状況、契約の料金、施術者の名簿など、守るべき情報を具体的に特定して書きます。終了後も一定期間は秘密を守るという定めと、顧客企業へ直接営業をかけることを制限する定めは、別の条項として整理すると、運用がぶれません。

出張の契約で起きがちなこと

出張型の事業で、繰り返し起きる形を整理します。

起きがちなことと、防ぎ方
起きがちなことなぜ起きるか防ぎ方
企業が前日に日程を取り消し、施術者への報酬だけが残る企業都合のキャンセルの費用を、契約で決めていない取消しの時期ごとの取消料と、その根拠を契約書に書く
従業員の健康状態の申告を取らないまま施術し、皮膚のトラブルが起きる契約者が企業のため、利用者本人からの申告が抜けた利用者本人の申告と同意書を、施術の前に必ず取る
企業から利用者の施術内容や健康状態を教えてほしいと求められる個人データの第三者提供の線引きがない渡す情報(集計)と渡さない情報を契約書で分ける
ホテルの客室で、宿泊客から不適切な要求を受けるが、施術者がやめにくい中止・退室の権限と、ホテルへの連絡の手順がない中止の権限と連絡の手順を、提携契約と案内に入れる
使用済みのタオルを客室に置いて帰り、リネンの扱いが問題になるオイル施術のリネンの扱いを決めていない施術者が持ち帰る運用を定める
自宅で施術中に回数券を勧めて契約し、後日クーリング・オフを求められる訪問販売の書面とクーリング・オフを知らずに契約した訪問先での追加の勧誘をしない、または書面運用を整える
手数料の精算で、キャンセル料にかかる手数料が争いになる精算の対象を契約で決めていない手数料の対象と精算の時期を契約書に書く

出張型の契約は、場所ごとに相手方とルールが変わるため、ひとつの契約書で全部を済ませようとすると無理が生じます。企業用、ホテル用、個人宅用、施術者用、営業担当用と分け、共通する部分(施術の中止の権限、健康情報の扱い、事故の対応)を揃える設計が、結果として運用しやすくなります。

よくあるご質問

出張エステの契約は、訪問販売になりますか?

お客様の自宅などで、施術会社の営業所等以外の場所で契約を結ぶと、訪問販売に当たります(特定商取引法2条1項1号)。お客様が自宅での施術を求めて、その契約を結ぶ場合は書面やクーリング・オフの規定が適用除外ですが(同法26条6項1号)、訪問先で別のコースを勧めて契約すれば、この例外には当たらず、訪問販売の規制が全面的にかかります。

企業の福利厚生で結ぶ出張リラクゼーションの契約でも、クーリング・オフは必要ですか?

企業が事業者として結ぶ契約は、営業のために結ぶ契約として、適用除外の対象になる場合があります(同法26条1項1号、50条1項1号)。ただし、福利厚生の契約が営業のためかどうかは契約の実態で判断します。従業員が自己負担で個人として申し込む形は、従業員個人の消費者契約になり、考え方が変わります。

従業員の健康状態の申告は、企業から取ればよいですか?

施術を受けるのは従業員個人のため、申告と同意は本人から取ります。病歴などの要配慮個人情報は、あらかじめ本人の同意を得なければ取得できません(個人情報保護法20条2項)。企業には個人ごとの情報を渡さず、利用人数や回数などの集計にとどめる設計が基本です。

ホテルの客室に出張する場合、どんな点を契約に入れますか?

宿泊客の依頼に限ること、予約の窓口と代金の受領、手数料の分け方、客室での禁止事項、施術者の判断による中止と退室の権限、不適切な要求があったときのホテルへの連絡、オイル施術のリネンの扱い、「マッサージ」の表示の確認を入れます。

出張セラピストへの報酬は、キャンセルのときどうしますか?

確定した予約を事業者の都合で取り消したときに、予定報酬の一部を補償する条項を置く例があります。出張では施術者が移動や待機をしているため、補償の割合と対象を決めておくと争いを防げます。個人事業主の施術者との取引には、取引条件の明示や、解除の予告などを定めたフリーランス法の確認も欠かせません。

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