エステサロンは、国家資格がなくても開業できる一方、特定商取引法の「特定継続的役務提供」として、契約前後の法定書面、クーリング・オフ、中途解約の返金の上限、広告と勧誘のルールが最も細かく定められている業種です。このガイドでは、アトラス行政書士法人がこれまで作成・レビューしてきたエステの契約書面、美容施術サブスクの契約書と法定書面、施術同意書、エステティシャンとの業務委託契約書、フランチャイズ加盟契約書、サロンの譲渡契約書などの実例と、条文の一次確認をもとに、エステサロンの開業と運営に必要な法務を、テーマごとに詳しく整理しています。

エステサロンを開業したい方

ベッドとデスクを備えたエステの施術室

資格より先に「売り方」を決める

フェイシャルやボディの施術に国家資格は不要ですが、顔そりは理容師法、メイクやまつ毛は美容師法、脱毛やケミカルピーリングは医師法と、メニューによって別の法律がかかります。

それ以上に大切なのが売り方です。都度払いか、回数券か、1か月超・5万円超のコースか、月額制か。売り方を決めると、必要な書類と守るべきルールが決まります。

コースを売る前に確認したい方

フェイシャルの施術を受ける女性

1か月超・5万円超で、規制が一気にかかる

エステの特定継続的役務提供は、期間1か月超・総額5万円超の契約です。金額には入会金や関連商品の代金も含まれ、有効期限のない回数券は、特段の事情がない限り常に1か月超として扱われます。

当たれば、概要書面と契約書面、誇大広告と不当な勧誘の禁止、財務書類の備付け、クーリング・オフ、中途解約の上限がすべてかかります。

概要書面・契約書面を作りたい方

タオルとボトルが置かれたエステのワゴン

法定の項目を、法定の書き方で

契約書面には、回数の総計、担当者の氏名、締結年月日、費目ごとの明細と合計、中途解約の精算方法を記載し、クーリング・オフの事項は赤枠・赤字、文字は8ポイント以上です。

書面に不備があると、クーリング・オフの8日間が進行しません。電子交付には、承諾の取り方まで細かい手順があります。

解約・返金のルールを整えたい方

クリームを手に取る手元

上限と単価を、契約時に書面で示す

中途解約で請求できるのは、施術開始前は2万円、開始後は提供済みの対価に「2万円と契約残額の10%のいずれか低い額」を加えた額までです。

提供済みの対価は契約時の単価で計算します。特別価格で契約したなら、解約のときも特別価格です。

脱毛・機器施術を扱う方

機器を使ったフェイシャルの施術

名称ではなく、行為の実質で判断される

レーザー等で毛乳頭を破壊する脱毛、ケミカルピーリング、アートメイクは医行為とされています。ハイフも、厚生労働省の通知で、医師以外が業として行えば医師法17条違反とされています。

施術同意書は免責のお守りではありません。通常の反応と過失を区別する基準、申告義務、説明者の記録を備えた書面にします。

スタッフ・講座・譲渡の契約が必要な方

フェイシャルの施術をするエステティシャンの手元

エステ特有の論点で、契約を組み立てる

エステティシャンにコースの勧誘まで任せるなら、勧誘の違反で行政処分を受けるのは店です。歩合は中途解約の返金とそろえ、研修費用は実費の負担と免除の仕組みで組み立てます。

養成講座では割賦販売法と業務提供誘引販売取引、サロンの譲渡では前のオーナーが売った回数券の承継が、見落とされやすい論点です。

このガイドの解説ページ

よくあるご質問

エステサロンの開業に資格は必要ですか?

フェイシャルやボディの施術に国家資格は求められていません。ただし、顔そりは理容師法、メイクやまつ毛エクステンションは美容師法、脱毛やケミカルピーリングなど医行為に当たる施術は医師法の対象です。

エステの特定継続的役務提供とは何ですか?

皮膚の美化、体型を整える、体重を減らすための施術で、期間が1か月を超え、総額が5万円を超える契約です。概要書面・契約書面の交付、クーリング・オフ、中途解約の上限などの規制がかかります。

エステを中途解約されたら、いくらまで請求できますか?

施術開始前は2万円、開始後は提供済みの施術の対価に「2万円と契約残額の10%のいずれか低い額」を加えた額が上限です。提供済みの対価は契約時の単価で計算します。

エステのサブスクも法定書面が必要ですか?

最低契約期間の総額が5万円を超える月額制は、特定継続的役務提供に当たる可能性が高く、法定書面が必要になります。縛りのない自動更新の月額制も、1本の契約と見られる可能性があります。

エステで脱毛をしてもよいですか?

レーザー等で毛乳頭を破壊する脱毛は医行為とされ、医師でなければ行えません。光脱毛でも、毛乳頭を破壊する程度の出力・方法であれば同様に評価されうるため、機器と出力の確認が欠かせません。

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監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日