このページの要点
- エステの関連商品は、健康食品などの加工食品、化粧品・石けん・浴用剤、下着、美顔器などの器具の4つ(施行令別表第五第一号)。
- コースを解除すると、関連商品もあわせて解除できる。消耗品(健康食品・化粧品等)を本人が使った場合だけ、契約書面に記載すればクーリング・オフの対象外にできる。
- 美顔器や下着は、使用しても対象外にできない。中途解約では、返還の有無で請求できる額が変わる。
- 化粧品の効能は通知で定められた範囲に限られ、医薬品的な効能をうたう広告は禁止(医薬品医療機器等法66条)。
エステの関連商品とは
関連商品は、特定継続的役務の提供に際してお客様が購入する必要のある商品として、政令で定める商品です(特定商取引法48条2項)。エステについては、特定商取引法施行令別表第五の一号が次の4つを定めています。
| 区分 | 具体例 | 使用・消費した場合のクーリング・オフ |
|---|---|---|
| イ 動物及び植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る)であつて、人が摂取するもの(医薬品を除く) | 健康食品、サプリメント、酵素ドリンク、置き換え食品 | お客様が自分で使用・消費した場合は、契約書面に記載していれば対象外にできる |
| ロ 化粧品、石けん(医薬品を除く)及び浴用剤 | ホームケア用の化粧水・美容液・クリーム、洗顔料、入浴剤 | 同上 |
| ハ 下着 | 補整下着、着圧ウェア | 使用しても対象外にはできない |
| ニ 電気による刺激又は電磁波若しくは超音波を用いて人の皮膚を清潔にし又は美化する器具又は装置 | 家庭用美顔器、超音波美顔器、EMS機器 | 使用しても対象外にはできない |
美容医療(別表第四の二の項)の関連商品は範囲が異なり、健康食品、化粧品、歯の漂白用のマウスピースと漂白剤、美容目的の医薬品・医薬部外品が定められています。
「購入する必要のある商品」に当たる場面
消費者庁の解釈通達は、関連商品の例として、エステの施術の際に使うローション(化粧品)や、家庭で継続して飲む必要があるとして購入させた健康食品などを挙げています。施術の効果を出すために必要だと勧めて販売した商品は、関連商品として扱われると考えておくべきです。
| 販売の場面 | 関連商品に当たるか |
|---|---|
| コースの申込みと同時に、ホームケア化粧品をセットで販売 | 当たる |
| カウンセリングで「この美容液を使わないと効果が出ない」と勧めて販売 | 当たる可能性が高い |
| コース契約の後、施術のたびに「続けて使うと良い」と勧めて販売 | 当たる可能性がある |
| コース契約とは関係なく、店頭で来店客が自分で選んで購入 | 当たらないことが多い(一般の店頭販売) |
| コース契約のないお客様へのネット販売 | 関連商品ではなく、通信販売としての規制 |
ある講座の規約には、推奨する商品の購入は受講者の判断に委ね、品質や効果について責任を負わない、という趣旨の定めがありました。しかし、施術や指導に必要だとして勧めた商品であれば、規約でこのように切り離しても、関連商品として扱われる可能性は残ります。売り方の実態で判断されることを前提にします。
コースとセットで売る場合の書き方
- 概要書面に、購入する必要のある商品の商品名・種類・数量を記載する(施行規則92条1項1号ハ)
- 契約書面に、商品の種類と数量、価格を費目ごとの明細として記載する(施行規則93条2項4号、94条1項)
- サロンと別の会社が商品を販売する場合は、販売者の氏名・名称、住所、電話番号(法人は代表者の氏名も)を契約書面に記載する(施行規則93条2項7号)
- クーリング・オフで関連商品も解除できること、申出先がサロンと異なる場合はその申出先を記載する
- 健康食品・化粧品を使用・消費した場合に解除できなくなる扱いをするなら、その商品を特定し、その旨を赤枠・赤字で記載する(施行規則94条2項・3項)
- サロンが施術で使わせた場合や、試供のために開封させた場合は、対象外にできないことを社内で共有する
関連商品の解除と精算
コースをクーリング・オフ・中途解約すると、関連商品の販売契約もあわせて解除できます(特定商取引法48条2項、49条5項)。中途解約の場合に請求できる額の上限は、商品を返還したかどうかで変わります(同法49条6項)。
| 状態 | 請求できる額の上限 |
|---|---|
| 商品が返還された | 通常の使用料に相当する額。ただし、販売価格から返還時の価格を差し引いた額がそれを超えるときは、その額 |
| 商品が返還されない | 販売価格に相当する額 |
| 商品の引渡し前 | 契約の締結と履行のために通常要する費用の額 |
計算例:12回コース12万円と美顔器6万円をセットで契約し、4回で中途解約・美顔器は未使用で返還
| コースの精算上限 | 提供済み40,000円 + min(2万円、残額80,000円の10%=8,000円)= 48,000円 |
|---|---|
| 美顔器の精算上限 | 通常の使用料に相当する額(未使用で返還されたため、返還時の価格の低下はほぼない) |
| 受け取っていた額 | 120,000円 + 60,000円 = 180,000円 |
返金額の目安:180,000円 −(48,000円 + 美顔器の通常の使用料相当額)
通常の使用料に相当する額は、商品の種類や期間によって個別に判断します。高額な機器ほど、精算の考え方を契約時に説明しておくことが大切です。
相談の現場から:物販の規約を、関連商品にそのまま流用しない
- 事務所が作成した法人向けの福利厚生契約では、物販の条項を「開封後・使用後・衛生上再販が難しいと判断した商品は返品できない」「未開封・未使用の商品は受領後一定期間内に申し出れば、相当と認めた場合に返品・交換に応じる」「初期不良は交換」「転売の禁止」「賠償の上限は購入代金」と、標準的な物販の書き方で定めました。これは法人との契約だからこそ成り立つ書き方です。
- 同じ条項を、個人のお客様にコースとあわせて売る化粧品や美顔器に当てはめると、クーリング・オフや中途解約の規定に反します。物販の規約と、関連商品の扱いは、契約書の中で明確に分けて書きます。
- 業務委託のエステティシャンへの報酬で、物販の歩合を施術の歩合とは別の料率で定める例が多く見られます。物販に強い歩合を付けると、関連商品の強引な販売や事実と違う説明につながりやすいため、歩合の設計と勧誘のルールは一緒に考えます。
単品で売る場合(店頭・ネット)
コース契約と関係なく店頭で販売する商品は、関連商品の規制の対象外になることが多い一方、ネットで販売する場合は通信販売の規制がかかります。
- ネット販売の広告には、事業者の情報、価格、送料、支払時期と方法、引渡時期、返品の特約などを表示する(特定商取引法11条、同法施行規則23条)
- 返品の可否や条件(返品特約)を広告に表示しないと、商品の引渡しを受けた日から8日以内は返品できる(同法15条の3)
- ネットで申込みを受ける場合は、定期購入かどうかにかかわらず、最終確認画面で、分量、対価、支払の時期と方法、引渡し・提供の時期、申込みの期間の定め、解約に関する事項などを表示する(同法12条の6第1項)。定期購入では回数・期間・総額・解約方法が特に重要
- サロンの会員サイトで販売する場合も、通信販売としての表示が必要
商品の表示と広告の注意
ホームケア商品を販売するときは、商品そのものの表示規制にも注意が必要です。化粧品は、承認を受けた医薬品のような効能効果をうたうことはできず、化粧品として表現できる効能は、行政の通知で定められた範囲(いわゆる56項目)に限られます。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器について、虚偽・誇大な広告は禁止されています(医薬品医療機器等法66条)。承認を受けていない医薬品等の広告も禁止です(同法68条)。
| 商品 | 避けたい表現 | 理由 |
|---|---|---|
| 化粧品 | 「シミが消える」「シワが治る」「アトピーが改善」 | 化粧品の効能の範囲を超え、医薬品的な効能をうたうことになる |
| 健康食品・サプリ | 「飲むだけで痩せる」「血糖値が下がる」「病気を予防」 | 医薬品的な効能効果の表示、健康増進法の虚偽誇大表示 |
| 美顔器 | 「たるみが治る」「医療機器と同じ効果」 | 医療機器的な効能の標ぼう、優良誤認 |
| 共通 | 根拠のない体験談・ビフォーアフター | 景品表示法の優良誤認、不実証広告規制 |
施術のときにスタッフが口頭で伝える説明も、広告や勧誘の一部として評価されます。商品ごとに「言ってよいこと・言ってはいけないこと」の一覧を作り、販売トークを統一しておくと、法令違反と返品トラブルの両方を防げます。
サロン以外の会社が販売する場合
ホームケア商品を、メーカーや別会社が販売し、サロンがその代理や紹介(媒介)をしている場合も、関連商品の規制の対象になります(特定商取引法48条2項は、関連商品の販売又はその代理若しくは媒介を行っている場合を対象にしています)。この場合、関連商品の解除の申出先がサロンと異なるなら、その旨と申出先を契約書面に記載し、販売者の氏名・名称、住所、電話番号(法人は代表者の氏名も)も記載します(施行規則93条2項7号、94条1項の表の二チ・三ニ)。サロンとメーカーとの間では、お客様からの解除や返品があったときの返金・引取りの負担を、取引契約で決めておく必要があります。
ホームケア商品の定期便
コースとは別に、化粧品やサプリメントを毎月届ける定期便を販売する場合は、ネットで申し込みを受けるなら通信販売の定期購入として、最終確認画面での表示(特定商取引法12条の6第1項)、最終確認画面で人を誤認させる表示の禁止(同条2項)、解約を妨げるための不実告知の禁止(同法13条の2)などのルールがかかります。コースとセットで定期便を契約する場合は、関連商品としての扱いと、定期購入としての扱いが重なることがあるため、契約書面と申込画面の両方で、回数・期間・総額・解約の方法を一致させておきます。
在庫・使用期限・表示
- 化粧品は、容器や外箱に、製造販売業者の氏名・住所、名称、製造番号、成分などの表示が必要とされている。小分けして販売する行為は、製造にあたるおそれがあるため避ける
- サロンが独自ブランドの化粧品を作る場合は、製造販売業の許可を持つ会社に製造・製造販売を委託する(OEM)
- 使用期限の近い在庫を値引きして販売する場合も、品質の劣化がないかを確認し、期限を明示する
- 施術で使う業務用の化粧品を、そのまま一般のお客様に販売しない(表示や用途が異なる場合がある)
よくあるご質問
エステの関連商品には何がありますか?
特定商取引法施行令別表第五で、健康食品などの加工食品、化粧品・石けん・浴用剤、下着、電気や電磁波・超音波を使って皮膚を清潔・美化する器具(美顔器など)の4つが定められています。
コースと一緒に買った化粧品も、クーリング・オフできますか?
できます。ただし、健康食品や化粧品などの消耗品をお客様が自分で使用・消費した場合は、その旨を契約書面に赤枠・赤字で記載していれば、その商品は解除の対象外にできます。サロンが使わせた場合は対象外にできません。
美顔器を開封して使った後でも、クーリング・オフの対象ですか?
美顔器などの器具や下着は、使用しても対象外にはできません。コースと同時に販売した場合は、使用後でもクーリング・オフの対象になります。
店頭で単品で売った化粧品も関連商品ですか?
コース契約とは関係なく、来店客が自分で選んで購入した商品は、関連商品に当たらないことが多いです。ただし、施術に必要だと勧めて販売した場合は、関連商品として扱われる可能性があります。
ホームケア化粧品の広告で注意することは?
化粧品として表現できる効能の範囲を超えて、シミが消える、シワが治るといった医薬品的な効能をうたうことはできません(医薬品医療機器等法66条)。根拠のない体験談やビフォーアフターも、景品表示法の問題になります。
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