このページの要点
- リースは原則として中途解約できず、機器が不調でも支払は続く。販売店への不満はリース会社に通じない書き方が一般的で、検収書への署名が支払開始の起点になる。
- 機器を使う仕事の紹介などで収入が得られると誘う契約は、業務提供誘引販売取引に当たる可能性があり、契約書面を受け取った日から20日間はクーリング・オフができる(特定商取引法58条)。ただし対象は仕事を事業所等によらずに行う個人に限られる。
- 事業のために結ぶ契約には消費者契約法の保護が及びにくい(同法2条1項)。通知期限、自動更新、損害金の重なり、買取義務、修繕費の押し付けは、契約書の文言で自分を守る。
- 開業支援・加盟は、契約金の内訳、支払の時期、返還する場合、指定機器の理由を別紙で確認する。機器がエステで使える区分かも、販売店の説明では決まらないので書面にする。
エステ機器を入れるとき、契約は何本結ぶことになるのか
結論から言うと、機器を一台入れるだけで、契約は三本から五本に分かれるのが普通です。販売店との売買、リース会社や信販会社との支払、保守、そして集客や開業の支援です。一枚の申込書に見えても相手が別々であることが多く、この違いが、揉めたときの最大の壁になります。
| 契約 | 相手 | 落とし穴の例 |
|---|---|---|
| 機器の売買 | 販売店 | 検収の前に、支払の契約だけが先に成立してしまう |
| リース | リース会社 | 販売店への不満を理由に支払を止められない書き方になっている |
| 割賦・ローン | 信販会社や金融機関 | 完済まで機器の処分が制限される場合がある |
| 保守・消耗品 | 販売店やメーカー | 機器の契約を解消しても保守だけが残る |
| 集客・開業支援、加盟 | 関連会社、本部 | 別契約にされ、機器の契約の責任と切り離される |
実務では、見積書に「機器一式」としか書かれず、どこまでが売買でどこからが保守や支援かが分からない契約書がよく見られます。最初にやるのは、契約を一本ずつに分け、相手と金額と期間を一覧にすることです。開業前の流れはエステサロンの開業・始め方でも整理していますが、機器の契約は内装や賃貸借より後に回すと決めておくと、急かされにくくなります。
売買・リース・ローン・レンタルは何が違うのか
違いは、機器が誰のものになり、途中でやめられるかどうかにあります。
| 方式 | 機器の持ち主 | 途中でやめる | 故障したとき |
|---|---|---|---|
| 現金での購入(売買) | 代金を払った時点で利用者 | 返品や解除は契約書の定めと法律による | 販売店の保証と、売買の法律上の責任(契約不適合)による |
| 割賦・ローン | 完済まで販売店や信販会社に所有権が残る形が多い | 原則として残りの支払が続く | 販売店に求める。支払の停止は契約書の定め次第 |
| ファイナンスリース | リース会社 | 原則として中途解約できない定めが一般的 | 修理は販売店やメーカーに求める。リース料は止まらない定めが一般的 |
| 短期のレンタル | 貸主 | 期間内の解約の可否は契約書による | 貸主が交換や修理をするのが基本 |
ファイナンスリースとは、利用者が選んだ機器をリース会社が販売店から買い、利用者に長期間貸す仕組みです。リース料には金利や手数料などが上乗せされます。一般的な契約書には、中途解約を認めないこと、中途で終わらせるなら残りのリース料を一括で払うこと、機器の不具合は販売店やメーカーに求めることが書かれています。つまり、機器が思ったとおりに動かなくても、支払は止まりません。
もう一つの大事な書類が、機器を受け取ったことを確認する書面(借受証、検収書、受領書などの名称で呼ばれます)です。この書面に署名や押印をすると、リース会社が販売店に代金を支払い、リース料の支払が始まります。届いていない、設置が終わっていない段階で署名すると、後から「届いていなかった」と言っても書面と食い違う主張になり、立場が苦しくなります。
計算例:リース料と損益分岐の見方(説明用の仮の数字)
| 月々の支払(リース料55,000円+保守料11,000円) | 66,000円(60回で3,960,000円) |
|---|---|
| 必要な施術回数 | 施術1回の粗利7,200円なら、66,000円 ÷ 7,200円 = 約9.2回(月10回) |
| 24回払った後に解約を申し出た場合の残り | 55,000円 × 36回 = 1,980,000円 |
家賃や人件費は含みません。24回目で「やめたい」と思っても、リース料の残り1,980,000円は原則として払い続けます。
金額は説明用の仮の数字です。実際の契約では、リース料の総額が現金で買った場合の価格をどれだけ上回るかも比べてください。
期間の短いレンタルは、民法の賃貸借にあたります。借りた物の一部が借主の責任でなく使えなくなったときは、使えない部分の割合に応じて賃料は当然に減額されます(民法611条1項)。ところがレンタルの契約書には、「通知がなければ返金しない」「不具合があっても料金は減額しない」と書かれていることがあり、民法なら認められる減額を契約書が消している形です。条項の文言を確かめる必要があります。
消費者を守る法律の適用にも注意が必要です。消費者契約法は、事業として又は事業のために契約する個人を「消費者」から外しています(同法2条1項)。サロンを開くための機器の契約は、個人名義でも事業のための契約と評価されやすく、「消費者だから違約金は無効」とは言いにくいのが原則です。契約書の中身で自分を守る必要があります。
開業商法とは何か。どんな勧誘から始まるのか
機器の売り込みは、機器の説明だけでは終わりません。「予約が埋まる」「お客様は紹介する」「返済は売上でまかなえる」といった収入や集客の話が一緒に出てきます。この話が口頭だけで、契約書に残っていないのが典型的なトラブルです。
| 勧誘の言い方 | 契約書に書かれがちな内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| お客様(モニター)は当社が紹介します | 紹介の義務がない、または努力義務 | 紹介の人数、期間、費用、途絶えたときの扱い |
| 返済は売上で十分まかなえる | 試算は口頭のみ。「収益を保証しない」 | 試算の前提(単価、回数)の書面 |
| この機器は資格がなくても使える | 「関係法令の遵守は利用者の責任」 | 根拠と説明者の氏名・日付 |
特定商取引法の業務提供誘引販売取引は、物品の販売や有償の役務の提供をする事業者が、その物品や役務を利用する仕事で収入(業務提供利益)が得られると誘い、相手に商品の購入代金や取引料などの負担(特定負担)をさせて契約する取引です(同法51条)。機器を使う仕事の紹介や、お客様の手配をうたって機器のリースや購入をさせる形が当たり得ます。事業者には、その仕事や収入の見込みについて、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為が禁じられています(同法52条)。この取引では、契約を締結した後に事業者が交付する契約書面を受領した日から起算して20日間、クーリング・オフ(理由を問わず契約を解除できる制度)ができます(同法58条)。通知は書面(はがきも可)または電子メールなどの電磁的記録で行い、解除の効力は通知を発した時に生じます。期間内に解除すれば、事業者は解除に伴う損害賠償や違約金を請求できません。ただし、この保護が及ぶのは、仕事を事業所その他これに類似する施設(事業所等)によらないで行う個人に限られます。店舗を構えて機器を使う人が当たるかは取引の実態によって分かれ、同じように扱われるとは限らないと考えておくのが安全です。
来店客に売るコースのクーリング・オフはエステのクーリング・オフと中途解約で扱っていますが、そちらは来店客との契約で、機器の購入者になる契約とは別の仕組みです。スクールを開く場合はエステティシャン養成講座・エステスクールの契約も参照してください。
訪問販売などには営業のための契約を対象外とする定め(同法26条1項1号)がありますが、業務提供誘引販売取引にはその定めがないため、営業のための契約だから特商法は関係ないと最初から決めつけないことが大切です。目安は、負担を伴う契約か、機器を使う仕事の用意や紹介を話されたか、収入が得られると示されたかの三つです。最終的な判断は勧誘の実態と契約の中身によります。
この類型に当たらない場合でも、収入が見込めるかのような事実と違う説明を信じて契約したのであれば、錯誤(民法95条)や詐欺(同法96条)による取消しを主張する余地があります。ただし「言った言わない」になりやすいため、パンフレットやメッセージの履歴、通話日時のメモを早い段階で保存しておくことが前提です。
契約書のどこを見るのか。実務で多い型と、よくある失敗と直し方
機器の貸借や売買の契約書は、売る側・貸す側の書式がそのまま使われることが多く、借りる側に不利な条項がまとまって入っています。実務で見かける型は、端末・機器の貸借、月額リースと売上からの相殺、売買と保守の一体、加盟と指定機器の四つで、次のような条項が問題になります。
書き方の例(一般的な例):機器の契約でよく問題になる条項と、整えた書き方
不具合の通知期限
よくある書き方到着した機器に不具合があっても、すぐに通知しなければ交換や返金の義務は負わない。
整えた書き方引渡しから○日以内に試運転して通知できる。通常の方法で発見できない不具合は、その後も通知できる。
売買では、不適合を知った時から1年以内に通知しないと追完や代金減額、損害賠償、解除ができなくなります(民法566条)。通知期限を数日に縮める書式は、この基準より借りる側に不利です。検品の期間と隠れた不具合の期間を分け、売る側に故意や重大な過失があるときは期間を問わず責任を負う、という例外を置きます。
支払開始の基準日と、所有権・危険の移転
よくある書き方配送が完了した日、又は配送が試みられた日をもって、引渡しが完了したものとみなす。
整えた書き方設置と試運転が終わり、利用者が検収書に署名した日を引渡し日とし、リース料や代金、所有権と滅失の危険は、その日に移る。
「試みられた日」は、受け取れていなくても支払の期間が進む書き方です。物品の納入を受ける側の契約書では、引渡し、所有権の移転、危険の移転、支払義務の発生を、立会いや書面による検収の完了という一つの基準に揃える型が見られ、設置前の破損や運搬中の事故の負担が曖昧になりません。手付、据付時、試運転後の三段階払いでも、残金を検収の後にしておけば、動かない機器の代金を全額払う事態を防げます。
自動更新と解約の通知
よくある書き方契約開始から3か月は解約できず、満了直前までに申し出なければ自動的に延長する。
整えた書き方最低期間と解約を申し出られる期限を契約書の冒頭の表に書き、貸主が更新の前に予告を通知する。
申出の期限が満了の数日前だと、気付いたときには次の期間に入っています。借主は10日前の通知が必要なのに、貸主は支払の遅れが1回あれば更新を拒める、という片寄りも見られます。
損害金の重なりと返却時の査定
よくある書き方返却が遅れたら日額を払い、4日目からは倍額とし、さらに実損の全額も請求できる。査定への異議は返却後3日以内に文書で出さなければ承認したものとみなす。
整えた書き方延滞は日額一本とし、実損を請求するときは日額分と重ならないと書く。破損や紛失は修理費の実費か、その時点の時価相当額とする。査定には根拠の写真を添え、異議の期間は無理のない長さにする。
賠償額の予定は民法420条で認められますが、日額、倍額、実損を重ねると根拠が説明できず、過大な定めは公序良俗(民法90条)で争われます。レンタルでは、期限後に正規販売価格での買取へ違約金と遅延損害金を重ねる書式もあり、機器の価値を超えかねません。
手続の不備が買取義務に直結する書き方
よくある書き方返送の追跡番号を報告しなければ、配送中に紛失しても正規販売価格で買い取る。専用ケースから取り出したら購入したものとみなす。所定の記録を出さなければ解除し、買取とする。
整えた書き方買取代金は、返却できなくなった時点の時価相当額を基準とする。報告の遅れは催告して補えるものとし、補っても足りない場合に限って買取を求める。
手続の抜けだけで定価の全額を負う書き方は、実際の損害から離れた賠償の予定になりかねません。買取に至る事由は、無断で手元に置き続けた場合などに絞ります。
修繕費と料金の減額
よくある書き方設備の維持、修繕、更新、交換の費用は、原因を問わず利用者が負担する。設備が滅失しても著しく傷んでも、料金の減額は求められない。
整えた書き方利用者が負担するのは日常の手入れと、利用者の責めによる破損の修理に限る。経年劣化やメーカー保証の範囲の故障は貸主が対応し、利用者の責めによらずに使えなかった期間は、その割合に応じて料金を減らす。
民法は、賃貸人に使用に必要な修繕の義務を負わせ(606条1項。借りた側の責めで必要になったときを除く)、借りた側の責めによらず使えなくなった部分の割合に応じて賃料は減るとしています(611条1項)。合意で違う定めを置くことはできますが、「原因を問わず」「減額できない」では、動かない機器の料金を払い続ける形になります。
解除と返金
よくある書き方利用者に違反があれば催告なく解除でき、理由の如何を問わず支払済みの料金は返さない。
整えた書き方解除できる場合を列挙し、販売側の債務不履行や直らない不具合があれば利用者からも解除でき、受領済みの代金は精算する。
解除の要件は民法541条・542条が基本で、一方にしか書かれていない定めはこれより片寄ることがあります。解除条項が「前条各号」を参照するのに前条に号がない、といった参照のずれも見られます。
責任の免除と、法令適合の責任の押し付け
よくある書き方機器の使用に関する損害について一切責任を負わない。機器に関する法令の解釈や審査基準は機関ごとに異なることを承知し、第三者から法令違反を指摘されても貸主は責任を負わない。
整えた書き方故意又は重大な過失による場合を除き、直接かつ通常の損害に限って責任を負い、上限を明示する。機器がどの区分の機器として扱われるかの説明を別紙に書き、説明と異なる指摘で使えなくなったときは、利用者が解約でき、未使用の期間分を精算する。
法令の解釈が一定でない点は事実ですが、それを理由に説明した側の責任まで消すと、使えない機器の料金が利用者に残ります。説明が事実と違えば、錯誤や詐欺による取消し、債務不履行の問題になり得ます。効果を保証しないという条項は置けますが、エステで使ってよい区分かという点とは切り分けて書きます。「重大」「修正不能」を誰が判断するのかが書かれていなければ、返金は事実上の裁量です。
売上の一定割合で代金を払い、累計が上限に達したら残りを免除する分割払いは、売上の算定、基準未満の月の扱い、免除前にやめた場合の精算を決めておかないと争点になります。
その機器は本当にエステで使えるのか。医療機器と広告の問題
もう一つ見落としやすいのが、その機器をエステの施術に使ってよいのか、という点です。「業務用」という名称だけでは分からず、使ってよいかは、機器の出力や皮膚への作用の深さ、実際の施術の内容で法律上の位置づけが決まります。
高出力の光や超音波を使う機器は、医師の関与が必要な施術に当たるかが問題になります。境目の考え方はエステの脱毛・ハイフと医師法、施術同意書の書き方で整理しています。買ってから「エステでは使えない出力だった」と分かると、機器を使えないままリース料だけが残りかねません。購入前に、販売側がその機器をどの法令上の区分として扱っているか、根拠を書面で示してもらってください。広告の面では、販売店のパンフレットにある効果の説明をそのままサロンの広告に使うと、その表示の責任はサロンが負います。この点はエステの広告表示で詳しく扱っています。
機器の契約前に、書面で出してもらいたい資料
- 機器の名称と型番、出力や作用の仕組みを書いた取扱説明書。
- 販売側が、その機器を医療機器として扱っているか、エステで使える区分として扱っているかの説明と、説明者の氏名と日付。
- 事故の責任の分担と、販売側の保険の有無。
設備つきで借りる・譲り受ける・加盟するとき、何を書面に残すか
サロンは機器を買う側だけではありません。設備つきの区画を借りる、閉店するサロンから設備を譲り受ける、加盟して機器を指定される、開業支援をまとめて買う、といった場面があり、定番の書式のままでは困る条項が出てきます。まず、機器を買う側が売買と保守を一体で結ぶときに入れておきたい条項の例です。新たに書き起こした一例です。
機器を購入する側が入れておきたい条項例(売買と保守を一体で結ぶ場合)
第○条(検収と残代金)
販売者は、機器の搬入と設置を終えた後、買主の立会いで試運転を行い、仕様書の性能を満たすことを示す。買主は、性能を確認して検収書に署名した日に引渡しを受けたものとし、残代金は、その日から○日以内に支払う。検収書への署名より前に、リース料その他の支払は開始しない。
第○条(保守の精算)
保守料は、提供を受けた月数に応じて支払う。本契約が解除又は終了した場合、販売者は、提供していない期間の保守料を請求せず、受領済みの前払分は日割で返還する。
第○条(書類の優先順位)
本契約書、覚書、発注書、見積書、パンフレットの内容が食い違うときは、この順序で先のものが優先する。販売者が説明した性能、保証及び集客の支援は、別紙に記載したものに限り、契約の内容とする。
居抜きのサロンや設備つきの区画を借りるときは、設備目録が本文と同じ重さを持ちます。実務では、目録を契約の一部とし、本文と食い違えば目録を優先する、目録にない物でも引渡しの日に現にあって通常使われているものは対象に含める、という定めが見られます。借りる側は、目録にない物まで修繕や原状回復の対象になる点に注意します。あわせて、必要費・有益費の償還請求(民法608条)や造作の買取りを求める権利をあらかじめ放棄する条項、終了後に残した物の所有権を放棄したとみなす条項もよく入っています。持ち込んだ機器は期限までに撤去する定めとセットなので、撤去の期限を決めておきます。
閉店するサロンから設備を譲り受ける場合は、目録で機器を一つずつ特定し、本文と目録が食い違うときの優先関係を決めておくのが一般的です。現状のまま引き渡す機器の契約不適合責任を負わないと合意する書き方もありますが、売主が重大な不具合を知りながら告げなかったときは除く、という例外を置くのが通常です。買う側は、売主に第三者の担保権や差押えがないこと(リース中の機器の所有者はリース会社で、売買の対象にできません)、医療機器に当たる機器が含まれないことを確認し、引渡日以降の保守費用と故障の危険の負担を決めます。サロンの譲渡全般はエステサロンの事業譲渡・居抜き・フランチャイズと返金トラブル対応が詳しい内容です。
加盟や開業支援の契約では、機器そのものより、何にいくら払い、やめたら何が戻るのかが書かれていないことが多く見られます。初期費用は開業を断念しても返さない、契約時に一括で前払い、支援の中身は「店舗設計の助言」「初期研修」などの見出しが並ぶだけ、という型がまとまって出てきます。次の点で整えます。
| 確認する点 | 書式に多い書き方 | 整える方向 |
|---|---|---|
| 費用の内訳 | 「開業支援費」とだけ書き、機器や内装、行政手続の費用が含まれるか不明 | 契約金に含む支援と、含まない費用(機器、什器、消耗品、申請費用)を別紙で分ける |
| 支払の時期 | 契約時に全額を前払い | 契約時と開業日に分け、残りは開業できる状態になったことを条件にする |
| 返還 | 理由を問わず返さない。または本部が認めたときだけ協議 | 返す場合を列挙する(本部の事情で開業できない、主要な支援が行われない等) |
| 業者の紹介 | 設備業者や金融機関を紹介するが、紹介先との契約は自己責任で、本部は結果に責任を負わない | 紹介の有無と、紹介先から本部が受ける対価の有無を明らかにする |
| 商圏と報告 | 近隣の出店は「しないよう努める」で、売上が下がると保護が外れる。機器の稼働と故障の報告義務がある | 努力義務の範囲と例外の条件を数字で書き、報告の頻度と様式を決める |
次は、機器の購入と開業の支援をまとめて受ける場合の条文例です。
開業支援を含む導入契約の条項例(費用の内訳・支払・返還・指定機器)
第○条(契約金の内訳)
契約金に含まれる支援は別紙1に記載したものに限る。機器、什器、消耗品の購入費用、行政手続の費用及び専門家への報酬は契約金に含まれず、利用者が購入先とそれぞれ契約して負担する。
第○条(支払の時期と開業日)
契約金は、契約の日から○日以内に○割を、開業日に残りを支払う。開業日は、機器の検収が済み、利用者が営業を始められる状態になったことを提供者が書面又は電子メールで通知した日とする。
第○条(返還)
提供者の事情により開業日から○か月以内に利用者が営業を始められなかったとき、又は別紙1の主要な支援が、相当の期間を定めた催告の後もされないときは、利用者は本契約を解除でき、提供者は、未実施の支援に相当する契約金を返還する。
第○条(指定機器と紹介先)
提供者が機器の購入先を指定するときは、その理由と価格を別紙に記載する。利用者が同等の品質基準を満たす他の機器の使用を申請したときは、提供者は○日以内に諾否を通知する。提供者が紹介先から対価を受けるときは、その旨と内容を利用者に通知する。
機器や業者を本部が指定する点には、公正取引委員会が公表している「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」に整理があります。本部が取引先を制限することは、必要な範囲を超えて、より良質・安価な商品を使えなくするなど不当に不利益を与える場合には、優越的地位の濫用に当たり得るとされています。また同書は、初期費用の返還の有無、ロイヤリティの算定、中途解約の条件などを契約前に十分に開示することを求めています。売上のモデルを見せられた場合は、その前提も書面でもらいます。契約が終わると、ブランド表示や予約システム、SNSアカウントは返す一方で、機器のリース料は支払が続く形になりやすいので、加盟前に確認します。
ヒヤリングで確認すること
契約書の文言より先に事実関係を確認します。次の事項は、条項の直し方が変わるため、あらかじめ聞き取ります。
| 確認する事項 | 理由 |
|---|---|
| 契約の相手方が、販売店とリース会社で別か、同じか | 別会社なら、販売店への不満をリース会社に主張できない定めの有無が最重要になる。 |
| 機器を受け取った日、検収書に署名した日、契約書面の受領日、仕事をする場所(店舗か店舗以外か) | 支払の開始日、不具合の通知期間、20日の起点が決まり、クーリング・オフの保護の対象かも分かる。 |
| 最低期間、自動更新の有無、解約を申し出られる期限 | 期限が満了直前だと、次の期間に入ってしまう。月額だけの確認では見落とす。 |
| 信販会社や金融機関が入るか、契約者は個人か法人か。支払の総額、保守料、中途解約時の残りの計算方法 | 販売店への主張が通るかは契約の種類と名義で変わる。解約時の負担は月額だけでは分からない。 |
| 勧誘の場所、日時、同席者、収入や集客について口頭で言われたこと | 業務提供誘引販売取引に当たるか、取消しを主張できるかの材料になる。書面にない約束は、後で証明するしかない。 |
| 保守を機器の契約と別に解約できるか。設備を譲り受けるなら、リース中や担保付きの機器がないか | 機器の契約が終わっても保守が残る事態や、リース会社の所有物を買ってしまう事態を避けるため。 |
| 支払った・払う予定の費用の内訳(機器、支援、研修、保証金)と、やめた場合に戻る範囲 | 開業支援の契約金に機器や実費が含まれるかで、返還を求められる範囲が変わる。 |
| 本部や販売店が指定する機器・業者と、他社品を使う余地、紹介された業者や融資先の有無 | 指定の理由と価格が説明されているか、紹介先との契約の責任が誰にあるかを判断するため。 |
| 補助金・助成金を機器の購入に使う予定か | 機器の処分や転用に制限が付いたり、条件に反して返還を求められたりすることがあり、リースの対象にできるかも条件による。 |
勧誘の経緯と契約書面の日付は、時間が経つほど記憶があいまいになります。契約した日のうちにメモを書いて日付を入れ、受け取った書類を写真かスキャンで残しておきます。
契約後にトラブルが起きたとき、そして起きがちなこと
機器が動かない、説明と違うと気付いたとき、最初にやるのは感情的に連絡することではなく、証拠を整えて期間を確認することです。
機器の契約でトラブルに気付いたときの順番(一般的な流れ)
- 書類を集める契約書、約款、見積書、パンフレット、検収書、メッセージの履歴をまとめる。
- 日付を数える契約書面を受け取った日を1日目として、20日が残っているかを数える。自分の契約がこの取引類型の保護の対象かも確かめる。
- 相手を特定する販売店、リース会社、信販会社のうち、誰にどの主張ができるかを整理する。支払を止める前に、連絡の要否を契約書で確認する。契約書で支払の停止が認められていない場合、一方的な停止は債務不履行になり得る。
- 通知を出し、記録を残す相手方ごとに通知が必要かを確認し、発信の記録が残る方法で出す。不具合は日付入りの写真や動画、キャンセルした予約の記録として残す。
通知書には、契約の特定、解除や取消しの意思、その理由(事実と日付)、支払済みの金額、返金を求める口座、機器の引取りの方法を書きます。名義は契約当事者である本人で、誇張や推測を混ぜません。
起きがちなこと①:検収の署名を先にさせられる
「署名がないとリースの審査が進まない」と言われ、機器が届く前に検収書へ署名します。その後、機器が届かない、違う型番が届いたと分かっても、リース会社は検収済みの書面を根拠に請求を続けます。署名は機器を確認した後にします。
起きがちなこと②:口頭の約束が契約書に入っていない
「お客様は紹介する」と言われたのに、契約書には「収益を保証しない」とあります。完結条項(口頭の約束は契約の内容にならないという定め)が置かれていると、後から口頭の約束を主張するのは難しくなります。大事な約束は、別紙でも構わないので書面にしてもらいます。
起きがちなこと③:契約が複数に分かれ、責任の所在が消える
機器は販売店、支払はリース会社、集客支援は関連会社と分かれているため、不満をどこに言っても「それは別会社です」と返されます。結ぶ前に、どの契約がどの契約に連動して終わるかを書面で確認します。
よくあるご質問
リースを契約したのに、機器が使えない場合、リース料は止められますか?
一般的なリース契約書は、機器の不具合は販売店やメーカーに求め、リース料の支払は止められないと定めています。止める前に、約款を含む契約書の該当箇所を確認してください。契約前であれば、検収の後から支払が始まる形にしておきます。
開業のために結んだ契約にも、クーリング・オフはありますか?
契約が業務提供誘引販売取引に当たれば、契約書面を受領した日から起算して20日間、クーリング・オフができ、事業者は損害賠償や違約金を請求できません(特定商取引法58条)。機器を使う仕事の提供や紹介を持ち出して、収入が得られるかのように誘った場合が対象になり得ます。ただし、保護が及ぶのは仕事を事業所等によらないで行う個人に限られ、店舗を構える場合は実態次第です。仕事の約束がない機器の売買は、通常は当たりません。
リースを途中で解約できますか。残りのリース料はどうなりますか?
ファイナンスリースの契約書は、中途解約を認めず、やむを得ず終了する場合は残りのリース料を一括で支払うと定めるのが一般的です。たとえば月額55,000円で36回分が残っていれば、1,980,000円になります。レンタルでは自動延長の定めも見られるため、申出の期限を確認してください。署名の前に、中途解約の可否と残りの計算方法を確かめます。
加盟金や開業支援の費用を払ったあとで開業をやめたら、返してもらえますか?
書式には、開業を断念しても返さないと書かれていることが多く、その定めがあれば返還を求めるのは簡単ではありません。まず、契約金の内訳と返還する場合の定めを確認します。提供者の事情で開業できなかった、主要な支援が行われなかった場合は、債務不履行による解除や精算を検討できます。契約前なら、返還する場合を列挙してもらいます。
販売店が「資格がなくても安全に使える機器」と説明した場合、信じてよいですか?
説明だけで判断せず、その説明を書面にしてもらってください。機器が医療機器に当たるかどうかや、医師の関与が必要な施術に当たるかどうかは、機器の出力や施術の内容で決まり、販売店の説明では決まりません。説明者の氏名と日付があれば、後で事実と違うと分かったときに、取消しや損害賠償を考える材料になります。
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本ページは一般的な情報提供です。個別のサロンに必要な対応は、メニュー、使用する機器、料金の受け取り方、勧誘の方法によって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認できます。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 厚生労働省 / 国民生活センター