このページの要点
- 手数料は率より、発生の時点と基準の金額(キャンセル・返金・値引きの後か)で負担が変わる。1枠あたりの残る金額を先に計算する。
- クーポンは総額で示す。通常価格との比較は販売実績が前提で、対象外と追加料金はクーポン名の近くと予約の確認メールに書く。
- 予約者の情報は、特定した利用目的の範囲で使う。契約外への誘導を禁じる条項の有無を、スタッフへの案内の前に確認する。
- 自動更新を止める期限、最低契約期間中の解約、料金改定と掲載停止の条項は、申込みの前に読む。営業担当者の説明は書面に残す。
ポータルとの契約は、何をいくらで買う契約なのか
ポータルへの掲載は、広告枠を買うだけの契約ではありません。多くの場合、掲載ページの作成、ネット予約の受付、予約管理の機能、口コミの表示、ポイントの付与、決済の仲介などが、一つの申込みの中に束ねられています。どの機能に、どの名目で、いつ費用がかかるのかを分けて読まないと、「掲載料は月額で払っているのに、別の請求が来た」ということが起きます。まず、費用の種類を表にします。
| 費用の種類 | 性質 | 契約書で確認すること |
|---|---|---|
| 掲載料(月額・期間定額) | 広告枠の対価。前払いで、掲載の成果とは連動しない | プランごとの料金、支払時期、掲載が始まらなかったときの扱い |
| 予約成立や来店に応じた手数料 | 成果に連動する費用。発生の時点が契約ごとに違う | 予約の確定時か、来店時か、会計の確定時か。キャンセル・返金・値引きの後の金額を基準にするか |
| ポイント・クーポン関連の費用 | お客様に付与する還元の原資を店が負担する型がある | 還元の負担率、ポイントを使った予約の売上の扱い |
| オプション(上位表示・特集枠・写真撮影など) | 追加の広告や制作の対価 | 申込みの方法、承諾した時点で費用が確定するか、取消しの可否 |
| 決済・事務の手数料 | 事前決済を使う場合に別途かかる | 入金のタイミング、返金時に手数料が戻るか |
契約の形も確認します。運営会社が不特定多数のサロンに同じ条件で提供する場合、その条件は民法の「定型約款」(画一的な取引のために一方が準備した条項の総体)に当たる可能性があります(民法548条の2第1項)。この場合、約款を契約の内容にするとあらかじめ表示されていれば、個々の条項に合意したものとみなされます。ただし、相手方の権利を制限し義務を加重する条項で、相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意をしなかったものとみなされます(同条2項)。一方、営業担当者と個別に条件を詰めて作った申込書や契約書は、定型約款に当たらないことがあります。自店の契約がどちらなのかは、申込みの経緯と書面で見分けます。
なお、消費者契約法は「消費者」と「事業者」の契約に適用される法律です。サロンもポータルの運営会社も事業者ですから、この契約には、消費者向けの契約のような消費者契約法による保護は届きません。「不利な条項があっても法律が守ってくれる」とは考えず、契約書面そのものの確認が大切になる、というのが出発点です。
費用の「実質負担」を、1枠あたりで計算しておく
ポータルから入る予約は、掲載料やクーポンの値引き、手数料、ポイントの原資が重なります。広告費として見える金額だけでなく、1回の施術枠から実際にいくら手元に残るかを、先に計算しておきます。次の数字は説明のための仮のものです。
計算例:クーポン予約と通常価格の予約で、1枠から残る金額(仮の数字)
| 通常メニューの価格 | 10,000円(総額) |
|---|---|
| ポータル向けのクーポン価格 | 6,000円(総額) |
| 成果手数料(仮に売上の10%) | クーポン予約:600円 / 直接の予約:0円 |
| ポイント原資(仮に売上の1%) | クーポン予約:60円 / 直接の予約:0円 |
| 1回あたりの材料費 | 600円 |
1枠から残る金額 クーポン予約:6,000−600−60−600=4,740円 / 直接の通常予約:10,000−600=9,400円(差は4,660円)
同じ枠が通常価格のお客様で埋まるはずだったなら、クーポンで埋めた分の差額は機会の損失です。クーポンは、空いている枠を埋める目的か、新規のお客様に通っていただく入口にする目的かを決め、その目的に合う枠と回数だけに絞って出します。
手数料の率や仕組みは運営会社とプランによって違います。計算では、契約書面の数字を当てはめてください。固定の掲載料に加えて成果手数料がかかる型では、集客できなかった月でも掲載料は発生します。期間ごとの売上と費用を並べて、掲載料と手数料を合わせた「新規のお客様1人あたりの獲得費用」を月ごとに出しておくと、更新するかどうかの判断材料になります。
手数料の「基準の金額」と「発生の時点」は、成果の定義で決まる
手数料の条項で最も差が出るのは、率ではなく定義です。紹介型・販売代行型の契約では、成果を「契約が締結され、支払義務が発生した状態」と定めるもの、入金が済み返金のない売上だけを基準にするものなど、基準の置き方は様々でした。ポータルでも同じで、次の三点を読みます。第一に、手数料の基準が、予約の確定時の金額なのか、会計後の実際の金額なのか。第二に、お客様のキャンセル、店側の事情による中止、返金、値引き、クーポンの併用があったとき、手数料が戻るのか、戻らないのか。第三に、請求の明細を確認できる方法があり、疑問があれば申し出る期限が決まっているのか。明細を確認できない仕組みだと、請求が合っているかどうかを自店で検証できません。
クーポンは誰の表示か:総額・二重価格・利用条件の三点を整える
ポータルのクーポン欄に載る内容は、運営会社が掲載しているページでも、サロン自身が価格と条件を示した表示として扱われます。審査を通ったから適法、ということにはなりません。表示の責任を負うのは、広告を出す側のサロンです。クーポンで問題になりやすい点は三つです。
価格は総額で示す
消費者に対して価格を表示するときは、消費税を含めた総額を表示します(消費税法63条)。「税込か税別かを明記すれば足りる」という考え方は誤りです。税抜の価格だけを目立たせたクーポンは、支払う金額が一目で分かりません。クーポンの価格は、お客様が実際に支払う総額で示し、入会金や指名料、オプションの追加料金がかかる場合は、価格の近くにその旨を書きます。
「通常価格」との比較は、実際の販売実績が前提
「通常12,000円のところ、今だけ3,980円」のような二重価格の表示は、比較している通常価格が実際に販売されてきた価格でなければ、景品表示法上の有利誤認に当たるおそれがあります。ポータルのクーポンは掲載の更新が簡単なので、通常価格より大幅に安い価格を何か月も出し続け、いつの間にかそれが実質の通常価格になっている、という状態になりがちです。メニューの価格表、クーポン欄、自店のウェブサイトの三か所で、同じメニューの価格が違っていないかを、定期的に見比べます。表示の考え方はエステの広告表示のページで整理しています。
クーポン欄の書き方の見直し
価格の示し方
避けたい書き方初回限定 顔そり込み フェイシャル 5,000円(税抜)
整えた書き方初回限定 フェイシャル(60分) 5,500円(総額)。顔そりは含まれません
税抜表示は総額が分からない。含まれる内容と含まれない内容を同じ場所に書く
比較の示し方
避けたい書き方通常15,000円が今だけ4,000円!(通常価格で販売した実績はほとんどない)
整えた書き方初回の方のみ 4,000円(総額)。2回目以降は 8,000円(総額)
比較する価格が実績のない価格だと有利誤認になりうる。次回以降の実際の価格を示すほうが誤解がない
条件の示し方
避けたい書き方全メニュー半額(クーポン画面の下の方に、小さく「一部対象外」)
整えた書き方対象:フェイシャル60分コースのみ。ボディ・脱毛・物販は対象外
打消しの注意書きを小さく離して書いても、全体の印象は変わらない。対象と対象外をクーポンの名前の近くに書く
利用条件は、予約確定の画面で見える場所に
クーポンには、初回限定、平日のみ、ほかのクーポンとの併用不可、指名料は別、オプション追加は別料金、予約時間の短縮あり、といった条件が付きます。これらの条件が、クーポンの詳細ページの最後にあるだけで、予約の確定画面や確認のメールに出てこない場合、来店時に「聞いていない」という行き違いが起きます。利用条件は、クーポンの名前に近い場所に書くだけでなく、予約の確認メールにも入れる運用にします。ポータルの画面の仕様で確認メールの文面を変えられない場合は、来店前の案内(LINEやメール)で自店から条件を再度伝える手順を決めておきます。
体験や初回のクーポンから、当日のコース契約につなげる場合は、勧誘の方法と書面の交付が別の問題になります。詳しくは体験コース・初回限定価格と勧誘のルールで扱っています。クーポン価格のままコースを契約したときの中途解約の精算は、契約時の単価を基準にします(クーリング・オフと中途解約)。
ポータル経由の予約と、自店のキャンセル規定・規約の関係
ポータルから予約したお客様にも、自店の規約やキャンセルの規定を適用したいところです。しかし、ポータルの予約画面で表示されるのは、ポータルが定めたキャンセルの案内や、サロンが入力した短い文章だけ、ということがあります。自店の規約を別に用意しても、お客様がそれに同意したことが分からなければ、契約の内容にならないおそれがあります。
ポータル経由のキャンセル料は、請求できるか
予約の時点で、キャンセル料の金額と発生する時期が、お客様に見える形で示されていますか
はい次の質問に進みます。
いいえ請求の根拠が弱くなります。予約画面、確認メール、来店時の同意のどれかで、示す方法を整えます。
キャンセル料は、そのキャンセルによって店に生じる平均的な損害の範囲に収まっていますか
はい請求の根拠として扱えます。
いいえ平均的な損害を超える部分は無効になります(消費者契約法9条1項1号)。金額を見直します。
店側の事情(休業、機器の故障、施術者の急な欠勤)や、天災・交通機関の止まった日ではありませんか
はい請求しません。予約の振替や返金の案内をします。
いいえ規約に沿って、請求の手続に進みます。
消費者契約法9条1項1号は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定する条項や違約金を定める条項について、同種の契約の解除に伴い事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効としています。キャンセル料の考え方はエステサロンの利用規約・プライバシーポリシー・特商法表記で整理しているので、ここでは、ポータルが入ることで増える論点に絞ります。
予約の窓口が複数あると、店の枠が二重になる
ポータル、自店のウェブ予約、電話、LINE、SNSのメッセージなど、予約の入口が複数ある店では、同じ枠に予約が二重に入るリスクがあります。ポータルの予約管理と自店のカレンダーが自動で連動していない場合は、特に注意が必要です。予約を確定したのに施術できなかった場合は、店が債務の本旨に従った履行をしなかったものとして、損害賠償の問題になりうるほか(民法415条1項)、お客様の信頼を大きく損ないます。枠を二重に受けない仕組み(予約を受けたら即座に全窓口の枠を閉じる担当者を決める、ポータル用に出す枠の上限を決める、など)は、契約書の外の運用で決めます。
実務での注意点:ポータル経由の予約の扱い
- 予約の成立時点を決めておく。確定通知を出した時点なのか、申込みの受付の時点なのかを、規約と案内に書く
- ポータルの画面で自店の規約に同意してもらう方法がないときは、来店時に同意書へ署名してもらう、予約の確認のLINEに規約へのリンクと同意の返信を求める、といった補う手段を持つ
- 無断キャンセル・遅刻の扱いは、ポータル経由と自店経由で食い違わないようにそろえる。そろえられないときは、違いを予約の案内に書く
- ポータルが決済を預かる予約では、店側のキャンセル料の請求が決済の仕組みとどう関係するかを、契約書面で確かめる
予約者の情報、口コミ、掲載写真は誰のものか
予約者の個人情報:取得した側の義務と、使える範囲
ポータルを通じて受け取る予約者の氏名、連絡先、予約内容、コメント欄の記載は、サロンにとって個人情報です。個人情報保護法は、個人情報の取扱いにあたって利用目的をできる限り特定すること(17条1項)、本人の同意なく、特定した目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱わないこと(18条1項)を求めています。取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知するか公表します(21条1項)。ポータル経由で取得した予約情報についても、自店の利用目的(予約管理、施術の安全管理、連絡など)を、自店のプライバシーポリシーに載せ、来店時にも案内しておきます。
特に注意したいのは、予約情報を使った営業連絡です。予約のために受け取った連絡先に、キャンペーンやコースのご案内を送ることが、特定した利用目的に含まれているかを確認します。含まれていなければ、利用目的の変更や同意の取得が必要になります。体調、既往歴、皮膚の状態を予約時のコメントに書くお客様もいるため、そうした情報の取得と保管は、プライバシーポリシーのページのとおり、同意の取り方まで含めて整えます。
ポータルが予約システムを提供し、店が顧客の台帳としてその機能を使う関係では、運営会社がサロンの委託を受けて個人データを取り扱う立場にあるのか、運営会社が自らの目的で取り扱う立場にあるのかによって、店が負う義務が変わります。委託の場合、店には委託先の監督義務があります(25条)。運営会社が自らの目的で取得し、店に提供する場合は、ポータル側の同意や公表の内容を確認します。個人データを第三者に提供するときは、原則として本人の同意が必要です(27条1項)。どちらの関係なのかは、契約書面と運営会社の個人情報の取扱いの案内の両方を読んで判断します。
「ポータルで知り合ったお客様」を、契約外へ誘導してよいか
ポータルに限らず、紹介や掲載の契約には、運営会社を通じて出会った相手との取引を、契約の外に切り替えて手数料を免れることを禁じる条項が置かれることがあります。採用媒体の掲載契約では、媒体で紹介された応募者を一定期間内に自社で採用した場合も、成果報酬の対象とする条項が使われることがあります。違反した場合の違約金を別に定める例もあり、違約金は賠償額の予定と推定されます(民法420条3項)。ポータルの契約で同じような条項があるかは、契約書面で確認するしかありません。ポータル経由の新規のお客様に、2回目から自店の予約へ切り替えるように案内する運用は、この条項の有無で扱いが変わります。条項がある場合、「次回予約は自店のLINEから」と声をかけること自体が、契約違反になりうるため、スタッフ向けの案内に反映します。条項がない場合も、運営会社の利用規約の禁止事項に触れていないか確認してから運用を決めます。
口コミは、店の思いどおりにならない部分が多い
ポータルの口コミは、お客様が自由に投稿する表示です。店が内容を直したり、悪い評価を消したりはできず、削除を求めるには、運営会社の基準に沿った申告を行うことになります。ここで気をつけたいのは、口コミを増やすために、割引や特典と引き換えに投稿を頼む運用です。依頼の仕方によっては、店の表示として扱われ、広告であることの表示が必要になりえます。扱いはエステの広告表示のページに整理しています。低い評価や誹謗中傷にどう対応するかは迷惑客対策のページで扱っています。
掲載する写真・文章の権利と、使われ方の範囲
掲載ページには、店内の写真、施術のイメージ、スタッフの写真、メニューの説明文を載せます。サロンが外部のカメラマンに撮影を依頼した場合、写真の著作権の帰属と、ポータルでの利用の許諾の範囲は、撮影の契約で決めておかないと、後で問題になります。スタッフ個人が写る写真は、本人の同意を得て、退職したときの扱い(掲載の取下げ)を決めておきます。業務委託のスタッフの場合の考え方はエステティシャンの業務委託契約書にあります。運営会社の規約には、掲載した写真や文章を、運営会社が宣伝や提携先への提供に再利用できると定めるものがあります。再利用の範囲(広告への転用、他の媒体への提供、期間)と、掲載を終えた後に削除されるのかを読みます。
契約期間・自動更新・解約・掲載停止:読み落としやすい五つの条項
契約書の後半に並ぶ条項は、申込みの時には読み飛ばされやすい一方で、問題になったときの結果を左右します。
| 条項 | 起きがちな規定 | 確認すること |
|---|---|---|
| 契約期間・更新 | 期間満了の前に申出がなければ、同じ期間で自動更新 | 更新を止める申出の期限と方法。期限を過ぎたときの扱い。更新の案内が事前にあるか |
| 中途解約 | 最低契約期間内は解約不可、または残りの期間の掲載料が必要 | 解約の可否、残りの料金の扱い。「違約金」でなく「最低期間の対価」と書かれていても、実質は同じ負担か |
| 料金・条件の変更 | 運営会社の判断で、事前の通知により改定できる | 通知の期限、改定に同意できないときの解約権(違約金なし)の有無 |
| 掲載の拒否・停止 | 運営会社の判断で、事前の通知なく掲載の停止、アカウントの停止ができる | 理由の通知、是正の機会、停止中の料金の扱い、停止後のデータの取扱い |
| 責任の制限 | システム障害や掲載数、予約件数について保証しない。賠償額に上限を設ける | 上限の金額の水準、故意・重過失の場合に上限が外れるか |
最低契約期間のある契約で途中解約をするとき、残りの期間の料金を請求する条項は、期間の対価として支払う義務があると読む場合と、解約に伴う違約金と読む場合があります。事業者どうしの契約では、消費者契約法の平均的な損害の規律は直接は働きません。それでも、違約金は賠償額の予定と推定され(民法420条3項)、あまりに過大な定めは、民法の一般原則によって争われる余地があります。
料金や条件の変更についても同じです。運営会社が約款を一方的に変更できる範囲は、民法548条の4が定めています。相手方の一般の利益に適合する場合のほか、契約をした目的に反せず、変更の必要性や内容の相当性などに照らして合理的な場合に限られ、効力が生じる時期を定めて、変更の内容を周知することが必要です(同条1項・2項)。周知をしなければ、第1項第2号に基づく変更は効力を生じません(同条3項)。ただし、これは定型約款に当たる場合の話で、個別の契約書面を交わしている場合は、書面の条項が基準になります。
営業担当者の説明は、書面にないと契約の内容にならない
申込みの段階では、営業担当者から「このプランなら月に何件の新規予約が見込める」といった説明を受けることがあります。しかし、契約書には、契約の前になされた説明や提案資料、広告は契約の内容にならないと定める「完全合意条項」が置かれていることが多く、営業説明や提案資料、ウェブサイトの記載には、書面に明示した場合を除いて拘束力がない、と定める例もよく見られます。集客の件数や掲載順位の説明を信頼して申し込んだ場合でも、その説明が書面に書かれていなければ、後から契約違反を主張するのは難しくなります。重要な説明は、申込書か、メールなどの記録に残る形にしてもらいます。
事業を譲る・閉じるときは、掲載ページと予約情報を先に確認する
サロンの営業を他の人に譲る場合、ポータルの掲載アカウントや口コミを引き継げるかは、運営会社の規約によります。契約上の地位の譲渡に運営会社の承諾が必要な契約もあります。譲渡の進め方はサロンの事業譲渡・居抜き・フランチャイズのページで扱っています。ポータルを解約するときは、予約済みのお客様への連絡、付与済みのポイントや未使用のクーポンの扱い、予約情報の書き出しと削除を、解約の前に済ませます。
よくある失敗と直し方:誤った書き方と、運用で補う書き方
運営会社の条項そのものを直せないとき、サロンにできるのは、条項の影響を自店の運用と文書で小さくすることです。次の例は、よく見られる誤りを一般化したものです。
書き方の例(一般的な例):ポータルとの関係を整える
クーポンの条件
見直し前の書き方クーポンの詳細に「条件あり」とだけ書き、細かい条件は来店時に説明する
見直し後の書き方対象のメニュー、併用の可否、追加料金の有無を、クーポンの名前の近くと予約の確認メールの両方に書く
来店後に条件を伝えても、予約時に示していない条件は主張しづらい。表示と同じ内容を予約の確認でも示す
キャンセルの規定
見直し前の書き方予約画面のキャンセルの案内は空欄で、規約は自店のサイトにのみ書いている
見直し後の書き方予約画面の案内欄に、キャンセル料の金額と発生の時期を短く書き、規約へのリンクを添える。来店時の同意書にも同じ内容を入れる
予約のとき見える場所に示さないと、請求の根拠が弱い。三か所の内容をそろえる
個人情報の利用目的
見直し前の書き方ポータルで取得した連絡先に、プライバシーポリシーに書いていないキャンペーン案内を送る
見直し後の書き方利用目的に「施術・予約の連絡」「サービスやキャンペーンのご案内」と分けて書き、案内を望まない方の配信停止の方法も示す
予約の連絡のために受け取った情報は、特定した目的の範囲で使う。目的にない営業は、同意か目的の変更が必要
ポータルからの誘導
見直し前の書き方ポータル経由の新規のお客様に、「次回からはお得な直接予約を」と全員に声をかける
見直し後の書き方契約書面に誘導を禁じる条項がないかを確認したうえで、案内の内容を決める。条項があるなら、案内は自店のサービスの内容の説明にとどめる
手数料を免れる目的で契約外の取引に切り替えることを禁じる条項があれば、スタッフの一言が契約違反になりうる
申込みの経緯
見直し前の書き方営業担当者から口頭で聞いた件数の見込みを根拠にプランを決める
見直し後の書き方見込みの根拠を書面かメールで出してもらい、出せなければ、見込みのない前提でプランを比べる
完全合意条項があると、口頭の説明は契約の内容にならない。判断の材料は書面で残す
ヒヤリングで確認すること:申込みの前、更新の前に
契約書面を読むときと、運営会社の担当者に質問するときのために、確認する事項と理由を表にまとめます。回答は、メールなど記録の残る方法でもらってください。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 手数料が発生するのは、予約の確定時、来店時、会計の確定時のどれか | キャンセル・無断キャンセル・返金のときに手数料が戻るかが変わる |
| 手数料の基準の金額は、クーポン適用後の金額か、通常価格か | 実質の負担率が大きく変わる。値引きのたびに費用が増える仕組みかどうかが分かる |
| 掲載料の支払時期と、掲載が始まる前に解約したときの返金 | 前払いの費用を失うリスクを把握するため |
| 契約期間、自動更新の有無、更新を止める申出の期限と方法 | 更新の機会を逃すと次の期間の料金を負担する |
| 最低契約期間中に解約したときの料金 | 「解約できない」のか、「残りの期間の料金が必要」なのかで、判断が変わる |
| 料金や条件の変更の通知方法と、同意しないときの解約の可否 | 変更後の条件に黙って拘束されないため |
| 掲載停止の理由と、停止前の通知、是正の機会 | 予告なく停止されると、集客の入口を失う |
| 予約者の情報の扱い(自店が自由に使えるか、書き出せるか、解約後は消えるか) | 利用目的の整理と、解約後の顧客管理の継続に直結する |
| ポータル経由の客を、契約の外の予約へ切り替えることの禁止の有無 | スタッフへの案内の内容と、手数料の免脱の疑いを避けるため |
| 自店のキャンセル規定を、予約画面に表示できるか | キャンセル料を請求する根拠の確保のため |
自店の規約:予約の経路を問わず適用する条(新しく書き起こした例)
第○条(予約の経路と規約の適用)
お客様がポータルサイト、当店のウェブサイト、電話、メッセージその他いずれの方法で予約された場合も、本規約が適用されます。お客様は、予約の確定時、または初回のご来店時に、本規約の内容を確認のうえ同意するものとします。
第○条(クーポンの利用条件)
クーポンは、クーポンに記載された対象のメニュー・期間・人数の範囲でのみ利用できます。ほかのクーポン、割引、ポイントとの併用はできません。指名料、オプション、追加の施術は、別途料金がかかります。利用条件は、予約の確定時に表示されたものを基準とし、当日に当店の都合で変更することはありません。
第○条(キャンセル)
ご予約の日時の○日前の○時以降のキャンセルには、メニュー料金の○%を、前日の○時以降および無断でのキャンセルには、メニュー料金の○%を、キャンセル料としてお支払いいただきます。当店、その代表者又はその使用する者の都合によるキャンセル、および天災・交通機関の運休その他やむを得ない事情によるキャンセルには、キャンセル料を請求しません。
第○条(予約情報の取扱い)
当店は、予約によって取得したお客様の個人情報を、ご予約・施術・安全管理・ご連絡の目的で利用します。キャンペーンやサービスのご案内は、お客様が受信に同意された場合に限り送信し、いつでも配信停止を申し出ることができます。
キャンセル料の割合は、店に生じる平均的な損害に収まるように決めてください。また、損害賠償の責任を免除する条項を置く場合、消費者向けでは、軽過失の全部免除は無効になりえます(消費者契約法8条1項1号・3号)。上限を設けるなら、事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除くことを、上限を定めるその一文の中に書きます(同条3項)。
起きがちなこと:ポータル掲載でつまずく五つの場面
- クーポンの価格を税抜で示し、来店したお客様が総額の高さに驚いて、当日にトラブルになる
- 通常価格より大幅に安いクーポンを何か月も出し続け、「通常価格」の比較が実績のない価格になっている
- 予約画面にキャンセルの案内がなく、無断キャンセルのお客様にキャンセル料を請求できない
- 自動更新の期限に気づかず、効果の薄い掲載を次の期間も続けることになる
- ポータル経由の新規のお客様を、スタッフが善意で自店の予約に誘導し、契約書面の誘導禁止の条項に触れる
どの場面も、契約書面の確認と、クーポンやキャンセルの表示をだれが見るのかが決まっていないことが原因です。ポータルは集客の入口であって、契約の相手方としての責任や、お客様への表示の責任がなくなるわけではありません。法定書面が必要なコース契約との関係はエステは特定継続的役務提供?、サブスクや回数券の設計はエステのサブスク・回数券・法人契約のページで整理しています。
よくあるご質問
ポータルに載せるクーポンの価格は、税抜で書いてもよいですか?
消費者向けの価格は、消費税を含めた総額で表示します(消費税法63条)。「税込か税別かを明記すれば足りる」という考え方は誤りです。入会金、指名料、オプションなどの追加料金がかかる場合は、価格の近くにその旨を書きます。
「通常価格」と比べた割引のクーポンを出すときの注意点は?
比較する通常価格が、実際に販売されてきた価格であることが前提です。実績のない高い価格と比べると、景品表示法上の有利誤認に当たるおそれがあります。クーポンの掲載が長く続き、割引価格のほうが実質の通常価格になっていないかも、定期的に確認します。
ポータル経由の予約にも、自店のキャンセル料を請求できますか?
予約のとき、金額と発生の時期がお客様に見える形で示されていれば、請求の根拠になります。ただし、店に生じる平均的な損害を超える部分は無効です(消費者契約法9条1項1号)。予約画面の案内欄、確認メール、来店時の同意書の内容をそろえておきます。
ポータルで取得したお客様の連絡先に、キャンペーンの案内を送ってよいですか?
予約のために受け取った情報は、特定した利用目的の範囲で使います(個人情報保護法17条1項・18条1項)。案内を送ることが利用目的に含まれていなければ、利用目的の変更や同意の取得が必要です。含める場合も、配信停止の方法を示します。
ポータルの契約を途中で解約するときに、何を確認すればよいですか?
最低契約期間と、期間内に解約したときの料金、自動更新を止める申出の期限を確認します。解約の前に、予約済みのお客様への連絡、付与済みのポイントや未使用のクーポンの扱い、予約情報の書き出しと削除も済ませます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別のサロンに必要な対応は、メニュー、使用する機器、料金の受け取り方、勧誘の方法によって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認できます。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 厚生労働省 / 国民生活センター