未成年・学生のお客様へのエステ施術契約:同意・取消し・年齢基準の決め方

17歳以下の契約は親権者の同意がなければ取り消せます。18歳・19歳は成年ですが、勧誘によっては別の仕組みで取り消せます。契約者・同意書・精算・年齢基準を先に決めます。

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このページの要点

  • 17歳以下の契約は、親権者の同意がなければ本人も親も取り消せる(民法5条2項、120条1項)。18歳・19歳は成年で、この取消しは使えない。
  • 同意書には、コース名・回数・総額・支払方法を書く。署名者が父母の一方だけのときは、単独の親権者か、他方の同意を得ているかを署名者に書いてもらう。
  • 取り消された場合は、受け取った代金の返還が原則。未成年者の返還は現に利益を受けている限度で、施術分を当然に差し引けるとは限らない(民法121条の2)。
  • 施術の年齢の下限は、サロンの基準で決める部分が大きい。メニューごとに決め、予約画面・規約・同意書で同じ内容にそろえる。
未成年のお客様を受け入れるときは、「親が了解していれば大丈夫」では足りません。先に決めておくのは、誰を契約者にするか、同意をどう確かめるか、取り消されたときにどう精算するか、そして施術メニューごとに何歳から受け付けるか、の四つです。17歳以下の契約は、親権者の同意がなければ、本人からも親からも取り消せます(民法5条2項、120条1項)。18歳・19歳は2022年4月から成年で、この取消しは使えません。ただし、体型や容姿の不安をあおる勧誘のように、年齢にかかわらず契約を取り消せる仕組みは別にあります。また、施術を何歳から受けられるかという「年齢の下限」は、本ページで確認した範囲では、エステの施術そのものについて法律が一律に決めているものは見当たらず、サロンの基準で決める部分が大きいところです。決めた基準は、規約・予約画面・同意書で同じ言葉にそろえます。

17歳以下と18歳・19歳は何が違うのか

民法は、年齢18歳をもって成年とします(4条)。成年年齢は2022年4月1日に20歳から18歳へ引き下げられました。成年に達しない人(以下「未成年者」)が契約するには、その法定代理人の同意が要ります(5条1項)。法定代理人は、通常は親権者である父母です。同意のない契約は取り消すことができます(同条2項)。5条1項のただし書は「単に権利を得、又は義務を免れる」契約を例外としていますが、エステは代金を支払う義務を負う契約なので、この例外には当たりません。

取り消せる人は、未成年者本人、その代理人、承継人、同意をすることができる人(親権者)です(120条1項)。つまり、親が知らないうちに結ばれた契約は、親が「同意していない」と言って取り消せるだけでなく、本人が自分で取り消すこともできます。来店していた高校生本人から取消しの連絡が来る場面も、制度としては想定されているということです。

お客様の年齢ごとの整理
お客様民法上の取消しサロンが先に整えること
17歳以下(中学生・高校生を含む)親権者の同意がない契約は取り消せる(5条2項)同意の取り方、契約者を誰にするか、取り消されたときの精算、施術メニューごとの年齢基準
18歳・19歳(高校3年生・大学生・専門学校生を含む)成年のため、年齢を理由にした取消しはできない年齢を理由にした取消しはなくても、消費者契約法・特定商取引法の取消しやクーリング・オフは使える。勧誘と説明を丁寧にする
契約時は17歳で、コース期間中に18歳になった人契約時に親権者の同意がなければ、成年後も一定期間は取消しが問題になる(124条・126条)同意書に契約期間を書く。コース途中で成年になっても同意の記録が残るようにする
20歳以上の学生年齢による取消しはない学生割引の確認方法、支払方法の確認(親のカードを使う場合など)

表の三行目は、半年や1年のコースを売るサロンで見落とされがちです。たとえば、契約した日は17歳で、コースの途中で18歳になった場合を考えます。取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、または行為の時から20年を経過したときに消えます(126条)。追認とは、取り消せる行為を有効なものとして確定させる意思表示で、成年に達し、かつ取消権があることを知った後でなければ、本人がしても効力が生じません(124条1項)。この「成年になったから契約が自動的に有効になる」わけではない点が大切で、17歳のときに親権者の同意なく結んだ高額コースは、18歳になった後も、しばらくは取消しの対象になり得ます。年齢の確認は、契約時の生年月日で行い、学年や制服では判断しません。

18歳・19歳は「保護がなくなる」のではない

成年になると、年齢を理由にした取消しは使えなくなります。脱毛エステなど「美」に関する契約は、若い方のトラブルとして挙げられることの多い分野です。しかし、取消しの仕組みは民法だけではありません。消費者契約法4条3項5号は、消費者が社会生活上の経験が乏しいことから、「容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項」に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠その他の正当な理由がないのに、契約がその願望を実現するために必要であると告げる行為を、取消しの対象にしています。この規定は年齢を条件にしていませんが、「社会生活上の経験が乏しい」と評価されるかどうかは事情によります。就職前の学生や、社会に出て間もない若い方は、評価される余地が十分にあります。取消権は、追認できる時から1年間、契約の締結から5年を過ぎると消えます(同法7条1項)。

特定商取引法の側では、エステが特定継続的役務提供に当たる契約であれば、年齢に関係なく、契約書面を受け取った日から8日間のクーリング・オフが使えます(同法48条)。また、事実と異なる説明などで勧誘した契約は、取消しの対象になります(同法49条の2)。これらは、お客様が17歳以下か18歳以上かで変わりません。コースが特定継続的役務提供に当たるかどうかは特定継続的役務提供の判断のページ、クーリング・オフと中途解約の計算はクーリング・オフと中途解約のページで整理しています。

親権者の同意は、どう取れば足りるのか

民法5条1項の「同意」は、親が漠然と「いいよ」と言ったことではなく、その契約の内容を分かったうえでの同意と考えるのが自然です。サロンに求められるのは、後で「同意した」「していない」と言われたときに、誰が、いつ、何に同意したのかを説明できる記録を残すことです。口頭の確認だけでは、記録が残りません。同意書の「同意します」の一行だけでも、何のコースに同意したのかが特定できません。

契約者を誰にするか:三つの型

未成年者の契約は、契約者を誰にするかで、同意の意味と支払の責任が変わります。実務では次の三つの型が使われています。どの型にするかは、サロンのメニューと、お客様が一人で来るのか親と来るのかで選びます。

契約者の三つの型
型契約者・支払う人向くメニュー注意すること
親権者が契約者、本人は利用者契約者は親権者。支払義務も親権者高額・長期のコース、親が来店できる場合施術の説明と健康状態の申告は本人にも行う。親が本人の悩みの詳細を知る範囲を決めておく
本人が契約者、親権者が同意契約者は本人。同意は親権者単発や少額のメニュー、本人が自分の費用で来る場合支払義務は親権者にはない。同意がない、または同意の範囲外だと取り消される。同意書に契約内容を特定する
親権者が本人を代表して契約親権者が本人を代理して契約する親が本人に代わって手続だけを行う場合親権者は子の財産に関する法律行為について子を代表します(824条)。契約書に代理であることと続柄を書く

ここで注意したいのは、「親が同意した」ことと「親が代金を支払う義務を負った」ことは別だという点です。同意は、未成年者が契約するための条件にすぎません。同意した親が、本人の代わりに代金を払う義務まで当然に負うわけではありません。親に支払義務を負わせたいのであれば、親が契約者として署名するか、連帯保証のように、その旨を書面で明確にします。保証契約は、書面でしなければ効力を生じません(446条2項)。規約に「法定代理人は連帯して責任を負います」と一文あるだけで、署名をしていない親にまで責任を負わせることができると考えるのは、危うい設計です。

父母のどちらの同意でよいのか

婚姻中の父母は、双方が親権者です(818条2項)。親権は父母が共同して行うのが原則で、一方のみが親権者であるとき、他方が親権を行うことができないとき、子の利益のため急迫の事情があるときは、一方が行います(824条の2第1項)。さらに、監護および教育に関する日常の行為の親権の行使は、父母の双方が親権者であっても、単独でできます(同条2項)。離婚後も父母双方が親権者となる共同親権を選べる民法の改正は、2026年4月1日に施行されています。

サロンの契約が「日常の行為」に当たるかは、契約の内容によります。月に一度の少額のフェイシャルは日常に近いと考えられても、数か月にわたる高額のコースを日常の行為と言い切るのは難しいでしょう。実務では、父母の署名を求められない場面が多いため、署名者が一人の場合は、次のいずれかを署名者が自分で確認して書く形が使われています。①自分が単独の親権者である、②他方の親権者の同意を得ている、③親権者全員が署名している。そのうえで、事実と違っていたときの責任は署名者が負うと、同意書に書いておきます。サロンは家族の事情を調べる立場にありません。申告を求め、記録することが現実的な線です。

未成年のお客様の同意確認の流れ(一例)

  1. 年齢の確認予約の段階で、生年月日で年齢を確認する。17歳以下には、同意書が必要であることを予約の案内に書いておく。
  2. 同意の方法来店時に親権者が同伴して署名する、同意書を持参して署名する、電子的方法で署名する、のいずれかを選んでもらう。
  3. 内容の特定同意書に、コース名、回数、総額、支払方法、有効期限、支払う人の氏名を書く。「サロンの利用全般に同意」とは書かない。
  4. 親権者の確認署名した人が親権者であることを、続柄と連絡先で確認する。連絡先に折り返しの電話をして、本人以外が親になりすましていないかを確かめる。
  5. 控えの交付同意書と契約書面の控えを親権者に渡す。特定継続的役務提供に当たる場合は、契約書面の交付が別途必要。
  6. 記録同意書の原本または電子記録を保管する。コース変更や追加購入のときは、新しい同意を取る。

電子的に同意を取る場合は、親権者のメールアドレスやLINEの名義を、サロンの側で確認できないことがあります。本人が親のふりをして「同意します」と送ることもできてしまいます。そのため、電子で取るときも、親権者の氏名の入力、続柄の選択、親権者の連絡先への確認連絡を組み合わせて、本人の操作だけで完結しない形にしておきます。概要書面・契約書面の電子交付の作り方は概要書面・契約書面のページに整理しています。

未成年のお客様に関する条項例(一般的な設計の一例)

第○条(未成年のお客様)

1 18歳未満のお客様が施術を申し込むときは、親権者(親権者が複数いるときは、その全員。以下「親権者等」といいます。)の同意が必要です。同意は、当サロンが定める同意書に親権者等が署名する方法で確認します。

同意書の内容

2 同意書には、申し込むコースの名称、回数、総額、支払方法、有効期限、支払う人の氏名を記載します。同意書に記載のない契約、記載の範囲を超える契約について、同意があったものとして取り扱うことはありません。

署名者が一人の場合

3 親権者等のうち一人が署名するときは、署名者は、自らが単独の親権者であること、または他の親権者の同意を得ていることを同意書に記載します。この記載が事実と異なったことにより当サロンに損害が生じたときは、署名者に、その実費をご負担いただくことがあります。

コースの変更等

4 コースの変更、回数の追加、期間の延長、関連商品の購入をするときは、改めて同意書をいただきます。

条項例の第2項は、同意の範囲を絞る意味を持ちます。「同意の範囲外」の契約が後から出てくると、その部分だけが取り消される可能性があるからです。追加の購入やコース変更のたびに同意を取る運用は、そのための備えです。

契約が取り消されたら、何が起きるのか

取り消された契約は、初めから無効であったものとみなされます(民法121条)。無効な契約に基づいて給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負います(121条の2第1項)。サロンから見ると、受け取った代金を返す義務が生じます。一方、行為の時に制限行為能力者であった人(未成年者を含みます)は、その行為によって現に利益を受けている限度で返還すれば足ります(同条3項)。エステの施術は形の残らない役務であるため、「すでに受けた施術分の利益」をどう評価するか、代金からどこまで差し引けるかは、事案によって判断が分かれます。取り消されたら受け取った代金の返還を覚悟する、という前提で設計しておくのが安全です。

計算例:6万円・6回のコースの契約を、1回受けた後にやめる場合(金額は説明のための仮の例)

前提総額6万円、6回、有効期限6か月。1回の施術は契約時の単価で1万円。すでに1回施術を受け、支払済みは6万円。
① クーリング・オフ(契約書面の受領から8日以内)提供済みの1回分も請求できず、受け取った6万円を全額返す。
② 中途解約(特定継続的役務提供・8日経過後)提供済み1万円。残額は5万円。解約料の上限は「2万円」と「残額5万円の10%=5千円」のうち低い額で、5千円。返金は 6万円−1万円−5千円=4万5千円。
③ 親権者の同意がないことを理由にした取消し(17歳以下)契約は初めから無効。受け取った6万円の返還が原則。1回分の施術をどう扱うかは、現に利益を受けている限度(121条の2第3項)の評価になり、1万円を当然に差し引けるとは限らない。

同じコースでも、どの仕組みで契約が終わるかで精算が変わります。申出を受けたら、どの根拠による申出かを最初に整理します。

③は、特定継続的役務提供の中途解約の上限(②)とは別の仕組みです。②の上限額が③にそのまま当てはまるわけではありません。

取消しの申出を受けたときは、まず年齢(生年月日)、同意書の有無、契約日、すでに提供した施術の回数と日付、支払方法を確認します。規約には、取消しを受け付ける窓口を書き、その窓口で受けた申出を前提に手順を決めます。窓口以外に伝えられた取消しの意思表示を、一律に無効とする書き方は避けます。

年齢を偽られた場合:「詐術」の考え方

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消せません(21条)。このため、規約に「年齢を偽った場合は一切取り消せない」と書くサロンがあります。しかし、条文の要件は「詐術を用いたとき」で、年齢を偽った事実があっても、それが詐術に当たるかどうかは、そのときの言動によります。黙っていた、年齢欄に何も書かなかった、というだけでは、足りない場合が多いと考えられます。サロンの側でできるのは、年齢を偽られても説明できるように、記録を残すことです。生年月日を自分で入力させる、身分証で年齢を確認したときはその旨を記録する。記録は詐術を検討する材料になりますが、取消しが当然に否定されるわけではありません。

成年になった後の「追認」と、サロンからの確認

取り消せる行為について、追認をすることができる時以後に、全部または一部の履行(代金を支払うなど)や履行の請求があったときは、追認したものとみなされます(125条。異議をとどめたときを除く)。追認は、成年に達し、取消権があることを知った後でなければ効力が生じません(124条1項)。規約に「成年後に利用した場合は追認したものとみなす」と書く例もありますが、取消権を知らせないまま、利用の事実だけで追認とするのは、消費者契約法10条の問題を指摘されるおそれがあります。

脱毛・痩身・ハイフは、何歳から受けられるのか

民法の18歳は「契約ができる年齢」で、施術を受けられる年齢ではありません。エステの施術そのものについて、年齢の下限を一律に定めた法律の規定は、本ページで確認した範囲では見当たりません。ですから、「何歳から受けられるか」は、サロンの基準で決めることが多くなります。高校生が来店したときに、受付ごとに答えが違うと、断られた人にも、受けた人にも不満が残ります。

ただし、基準が自由に決められるとしても、施術によっては別の法律が先にかかります。機器による脱毛やハイフなど、医行為に当たる施術は、医師でなければ行えません(医師法17条)。エステのメニューにどこまで含められるかは、脱毛・ハイフと医師法のページで整理しています。

基準を作るときに考えること

  • 本人が、施術の内容とリスクの説明を理解して、自分で健康状態を申告できるか。申告が不正確だと、事故が起きたときに説明が難しくなります。
  • 妊娠、服薬、皮膚疾患、日焼けの状態、他の施術の履歴など、申告を求める項目に、未成年が答えられるか。親権者が同伴しなければ答えられない項目はないか。
  • 回数と期間。長いコースは、途中で成年になる、進学や転居で通えなくなる、といったことが起きやすくなります。

基準に満たないお客様をお断りするときは、理由と、基準を満たす時期を伝える文面を受付に用意しておくと、現場が迷いません。また、年齢の基準を広告に書く場合は、「安全です」「誰でも受けられます」といった広い言い方をしません。広告の表示の注意はエステの広告表示のページで整理しています。

学生のお客様に、支払い・コース設計・勧誘で特に気をつけること

誰がどのカードで払うのか

高校生が親のクレジットカードで支払う、大学生が親の口座から引き落とす、という場面があります。支払う人が誰なのかを、契約書の「支払者」の欄で明確にします。支払う人が親権者なら、その親権者の署名のある同意書を取ります。

分割払いは、特に注意が必要です。信販会社などの分割払いを利用する場合、信販会社が申込者の年齢などを審査し、未成年には親権者の同意を求めるのが一般的と見られます。サロンが自分で分割払いを受ける場合は、割賦販売法の規律が別にかかります。未成年のお客様に分割払いを案内する前に、どの方法なら提供できるのかを、決済会社の条件と合わせて確認します。

勧誘で問題になる場面

学生の相談で目立つのは、無料体験の予約で来店したのに、別室で高額なコースを勧められた、という流れです。体験の入口の考え方は体験コース・初回限定価格のページで整理しています。

学生のお客様への勧誘を点検する項目

  • 「親に相談したい」「親に電話をしたい」と言われたら、勧誘をやめて、時間を置く。威迫する言動を交えて連絡を妨げると、取消しの対象になります(消費者契約法4条3項4号)。
  • 「今契約しないと、肌はもっと悪くなる」「この体型のままでは就職や恋愛で困る」のように、容姿や体型への不安をあおって契約が必要だと告げていないか(同項5号)。
  • 契約書面を交付して、クーリング・オフが使えることを、口頭でも伝えているか。「店舗契約だからクーリング・オフできない」と説明していないか。
  • 勧誘をしたスタッフの名前、時間、説明内容を、あとで説明できるように記録しているか。

個人情報・写真・体調の急変:未成年に特有の扱い

カウンセリングシートと同意の年齢

カウンセリングシートには、既往歴、服薬、アレルギー、肌の状態などを書いてもらいます。病歴は、個人情報保護法でいう「要配慮個人情報」に当たり得る情報で、取得するときは、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です(個人情報保護法2条3項、20条2項)。利用目的は、できる限り特定し(17条)、書面で本人から直接取得するときは、あらかじめ利用目的を明示します(21条2項)。

子どもの同意について、個人情報保護委員会のQ&Aは、法定代理人等から同意を得る必要がある年齢は個別に判断するとしつつ、一般的には12歳から15歳までの年齢以下の子どもについては、法定代理人等から同意を得る必要があるとしています。中学生が来店するサロンは、シートの冒頭に、親権者の同意の欄を設けます。なお、法改正で子どもの同意に関する規定が整備される動きがあるため、実際に運用する際は、個人情報保護委員会の最新の案内を確認します。

プライバシーポリシーに「当社は、18歳未満の方による本サービスの利用を想定していません」と書いたまま、実際には高校生を受け入れている、という食い違いも起こりがちです。サロンが受け入れるなら、未成年者の情報を取得する場合の手続を、ポリシーにも書きます。全体の構成は利用規約・プライバシーポリシーのページにあります。

ビフォーアフターの写真と、父母の同意

施術前後の写真をサロンのSNSなどに載せるときは、本人の同意が必要です。未成年者の写真は、親権者の同意を取ります。共同親権の場合は、一方の親の同意だけで足りるか、他方の親から異議が出ないかが問題になり得ます。実務では、写真の同意書を、撮影の目的、媒体ごとの掲載(ホームページ、SNS、チラシなど)、顔を出すかどうか、撤回の方法に分けて、チェック式で作ります。撤回があったときは、サロンの管理する媒体から合理的な期間内に削除する、と書きます。

体調が急変したとき:医療への同意はサロンにはできない

施術中に気分が悪くなった、肌に強い反応が出た、という場面で、未成年のお客様が一人で来店していると、対応に迷います。まず確認したいのは、サロンのスタッフが、本人に代わって治療に同意することはできない、という点です。治療への同意は、未成年者の場合は親権者が行います。ですから、事前に「医療同意書」という名前の書面を取って、スタッフが同意できるようにする、という設計は避けます。できるのは、救急の要請、親権者への連絡、本人の情報を医療機関に伝えること、です。そのための緊急連絡先と、情報を共有することへの同意を、同意書に入れておきます。

緊急時の対応に関する条項例(一般的な設計の一例)

第○条(緊急時の連絡)

1 お客様が18歳未満のときは、同意書に、緊急時に連絡が取れる親権者等の氏名と電話番号を記載していただきます。

2 施術中に、お客様の体調が急変し、または安全に施術を続けられないと判断したときは、当サロンは、施術を中止し、必要に応じて救急の要請および親権者等への連絡を行います。この場合、当サロンは、お客様の氏名、症状、施術の内容を、救急隊および医療機関に伝えることがあります。

3 当サロンは、お客様に代わって、医療行為への同意をすることはできません。

4 当サロンが安全上の理由で施術を中止した場合、その回数は、コースの消化に含めません。

第4項は、安全のための中止でお客様に回数を失わせない、という考え方です。

よくある失敗と直し方

未成年に関する規約や同意書は、短い一文で済まされていることが多く、書き方に誤りが紛れやすい分野です。実務で多く見られる書き方を、誤りと直し方に分けて示します。

書き方の例(一般的な例):未成年に関する条項の見直し(一般的な例)

同意の確認方法がない一文

よくある書き方「未成年のお客様は、親権者の同意が必要です。」と予約の条の末尾に一文だけ置く。

整えた書き方「18歳未満のお客様は、親権者等の同意書をご提出いただきます。同意書には、コース名、回数、総額、支払方法を記載します。」と、確認の方法と範囲まで書く。

同意が必要だと書くだけでは、同意があったことを証明できません。確認の方法を決めて、記録を残す仕組みにします。

「みなし」条項

よくある書き方「未成年者が申込みをした場合、当サロンは、親権者の同意があったものとみなします。」

整えた書き方「同意が確認できない場合、当サロンは、施術をお受けしません。」

みなしの条項を置いても、同意がなかった事実は変わらず、取消しは妨げられません。かえって、事業者に一方的に有利な条項として、消費者契約法10条の問題になるおそれがあります。

年齢を偽ったときの一律の取消し排除

よくある書き方「年齢を偽って契約した場合、お客様は一切の法律行為を取り消せません。」

整えた書き方「年齢の申告は事実に基づいて行ってください。事実と異なる申告があったことが分かったときは、当サロンは、民法の定めに従って対応します。」

取消しを妨げるのは「詐術を用いたとき」です(民法21条)。偽った事実があるだけで一律に排除する書き方は、条文より広すぎます。

同意した親への連帯責任

よくある書き方「法定代理人は、未成年者と連帯して責任を負うものとします。」

整えた書き方親権者が契約者になる型にして署名してもらう。または、保証の旨を明記した書面に署名してもらう。

署名のない親に責任を負わせる条項の効力は疑わしく、保証契約は書面でしなければ効力を生じません(民法446条2項)。

取消し後の対価の請求

よくある書き方「同意がなく取り消された場合でも、すでに提供した施術の対価は支払ってください。」

整えた書き方「取消しがあったときは、受け取った代金を返金します。提供済みの施術の取扱いは、個別に判断します。」

未成年者の返還の範囲は、現に利益を受けている限度です(民法121条の2第3項)。一律の請求は、この定めと合わず、争いを大きくします。

ヒヤリングで確認すること、起きがちなこと

未成年・学生のお客様に関する書類を作る前に、サロンの運用を確認します。確認する項目と、その理由は次のとおりです。

ヒヤリングで確認する事項と、その理由
確認すること理由
未成年のお客様は、実際にどのくらい来店するか。中学生・高校生・大学生の内訳は17歳以下が来店しないなら、「受け付けない」と決める方が簡単です。来店するなら、同意書と年齢基準が必要になります
コースや回数券、サブスクを、未成年に売るのか。単発の施術だけか特定継続的役務提供に当たり得ます。契約者を親権者にするかを決める材料になります
支払いはどう受け取るか(現金、親のカード、口座振替、分割)支払う人が誰かで、同意書の内容が変わります。分割は別の規制がかかります
施術メニューの機器と、使う機器の出力年齢基準と、医行為との線を決めるために必要です
学生割引があるか。割引後の総額と関連商品の販売は特定継続的役務提供の金額の判断に影響します
勧誘の方法(体験のあとの別室、当日契約の有無)消費者契約法の取消しに関わるためです
写真をSNSに載せているか。未成年の写真をどう扱っているか写真の同意書の範囲と、共同親権の確認事項を決めるためです

起きがちなこと

  • 同意書は取っていたが、「サロンの利用全般に同意します」としか書いておらず、高額コースの追加購入について同意の範囲外だと言われる。
  • 親が「知らなかった」と言い、本人が分割払いの申込みをしていたことが後から分かる。
  • 17歳のときに契約した半年のコースが、途中で18歳になり、その後に解約の話が出て、取消しなのか中途解約なのかで精算が食い違う。
  • 体験の予約で来た高校生が、親に電話をしたいと言ったのに、勧誘が続いたと主張される。
  • 年齢の基準が決まっておらず、スタッフごとに「中学生でも大丈夫」「高校生以上です」と答えが違う。

どれも、規約や同意書の文面と、現場の運用が食い違った場面で起きています。書類は、現場で実際に動かせる範囲で作り、動かせないことは書かない。この考え方が、未成年・学生のお客様との関係でも出発点になります。

よくあるご質問

高校生が友人と体験だけ来店したいと言っています。親の同意は必要ですか。

契約を結ぶ場合は、17歳以下であれば親権者の同意が必要です(民法5条)。体験が単発で料金も少額でも、親権者の同意がない契約は取り消せる扱いになります。体験を受け付けるかどうか、受け付けるなら同意書をどうするかを、サロンの基準として決めておきます。

18歳の大学生にも、親の同意は要りますか。

年齢を理由にした親権者の同意は要りません。18歳は成年だからです(民法4条)。ただし、成年であっても、勧誘や説明に問題があれば、消費者契約法や特定商取引法による取消しやクーリング・オフが使えます。支払いを親が行う場合は、その人の署名のある書面を取るのが安全です。

親の同意書があれば、契約を取り消されることはありませんか。

民法5条による取消しは、同意があれば生じません。しかし、同意書があっても、不実の説明や、容姿・体型への不安をあおる勧誘があれば、消費者契約法などによる取消しの対象になり得ます。また、特定継続的役務提供に当たる契約では、クーリング・オフと中途解約も使えます。

未成年と知らずに契約し、取り消された場合は、施術した分の代金を請求できますか。

取り消された契約は初めから無効となり、受け取った代金は返す義務があります。未成年者の返還の範囲は、現に利益を受けている限度とされるため(民法121条の2第3項)、施術分を当然に差し引けるとは限りません。個別の事情で判断が分かれます。

脱毛や痩身の施術は、何歳から受けられますか。

エステの施術そのものについて、年齢の下限を一律に定める規定は、本ページで確認した範囲では見当たらず、サロンの基準で決める部分が大きくなります。メニューごとに年齢の基準を決め、予約画面と同意書に同じ内容を書いておきます。医行為に当たる施術は、医師でなければ行えません(医師法17条)。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別のサロンに必要な対応は、メニュー、使用する機器、料金の受け取り方、勧誘の方法によって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認できます。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 特定商取引法ガイド / 厚生労働省 / 国民生活センター

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